やわらかで優しい春の雨。濡れても少しも気にならなかった。 高知城下で桜の開花宣言。待ちわびていた桜の季節がついにやってきた。
川仕事を終え、午後は少しだけのんびりと過ごすことが出来る。 ずっと忙しかったからなんだか気が抜けたようになってしまう。 休める時にやすむ充電日。そうしてまた明日から頑張ろうと思う。
いつのまにか雨もやんでいて、散歩がてら歩いてお大師堂に向かった。 顔なじみのお遍路さんのことを考えていたらそれが虫の知らせだったようだ。
ほぼ40日ぶりの再会、いつもの笑顔が嬉しくもあり少し複雑な気持ち。 これまで会うたびにお接待をさせてもらっていたのだけれど いつからかそれを強要されるようになってしまっていたのだった。
惜しみなくと思う気持ちはあるのだけれど、やはりいい気持ちにはなれない。 決して偏見を持ってはいけないと自分に言い聞かしているのだけれど 今日は何を頼まれるのだろうとはらはらしている自分がそこにいた。
そのせいか、以前のように打ち解けてゆっくりと話すことが出来なかった。 なんだか逃げているような自分に気づいて心の奥のほうが苦しくてしょうがない。
お遍路さんもそんな私の変貌に少し気づいているような感じがした。 だから何も言わない。あれこれと欲しがらないのがよけいに辛く感じる。
あとに残るのは反省と後悔、「何か困っていることはない?」の一言が どうして言えなかったのだろうとなんとも後味の悪い再会になってしまった。
もしかしたら私が甘えられる唯一の人だったのかもしれないなと思った。
家族も家も何もかも遠くへ押しやってひたすら四国を歩き続けているお遍路さんがいる。
「おかあさん」っていつも私のことをそう呼んでくれていたお遍路さんだった。
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