どくだみの花ってなんて清楚で可憐なのだろう。 それは十字架のかたちに似ている。 少女の頃に初めて手にした聖書のことを思い出した。
布教のおばさんが時々訪ねて来てくれていろんな話をしたっけ。 父に叱られた。「おまえは何でもすぐにのめりこむから」と。
父への反抗心もあったのだろうか。こっそりと十字架の首飾りを買った。 あの時の何とも言えない「やすらぎ」はいったい何だったのだろう。
ある日のことおばさんと些細なことでぶつかってしまった。 今思えばそれは少しも些細なことではなかったのかもしれない。
おばさんはとても大切なことを私に教えてくれようとしていたのだろう。 たしか17歳だったと思う。まだまだ未熟だった心のせいで聖書を閉じた。 肌身離さず身に着けていた首飾りはどうしてしまったのか。 捨ててしまった記憶もないと言うのにどうしても思い出せないのだった。
川仕事の撤収作業もやっと終わって、今日から山里の職場に復帰する。 自分なりにスイッチを切り替える。それはとても清々しい行為であった。 自分に与えられていることをありがたく受け止めてまた頑張っていこうと思う。
決して穏やかな日ばかりとは限らないけれど、すくっと前を向いていれば どんなことも乗り越えられそうな気がするのだった。
てくてくと歩いて行こう。前を向いて歩いて行こう!
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