午前二時、枕元の携帯電話がけたたましく鳴り響き 母が救急車で病院に運ばれたことを知る。
夫と二人で真夜中の国道を走り抜け隣町の県立病院へ駆けつけた。 良かった、意識はあるけれど「うっ血性の心不全」だと言うこと。 手当てが遅れたら命に関わる状態だったと聞き身体が震えた。
午前五時、酸素マスクをつけたまま集中治療室へ入る。 うわごとのように仕事の話をしようとしている母。 こんな時にどうして?と思う。それほどまでに仕事が 母の日常を支配していたのかと思うとやり切れなかった。
様態が少し落ち着いてきたこともあり後は病院にまかせて帰宅する。 ざわざわと胸がさわぐ。幸い命は取り留めたものの「死」が頭をよぎった。
これも試練なのだろうか。神様は何を試そうとしているのだろうか。
日中はどうしても職場を守らねばならず落ち着かないまま仕事。 午後二時で仕事を終えすぐに病院へ駆けつける。
今朝よりもずいぶんと顔色が良い。どんなにかほっとしたことか。
「入れ歯を忘れた」開口一番がそれで思わず笑ってしまう。
一時はどうなることやらと肝を冷やしたけれど 経過さえ良ければ二週間ほどで退院できるのだそうだ。
明日のことはあした。あれこれと思い悩むのはよそうと思う。
なにごともなるようになりまする。それが母の口癖だった。
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