「やまない雨はないのだから」ふとつぶやきながら職場へ向かう。
雨合羽を羽織ったお遍路さんがふたり険しい峠道を上って行く。
いつも声をかけられなくてその背中に手を合わすばかり。
お大師堂の例のお遍路さんはどうしているだろうかと気がかりでもあった。
徳島へ帰る決心をして駅に向かっているだろうか。
もしかしたら無理を承知で足摺岬に向かったのかもしれない。
お大師堂に何か書き残してくれているような気がしていたのだけれど
今日に限って帰宅が遅くなる。綾菜のお迎えの時間になっていて
すごく気になりながらもお大師堂へ行く事が出来なかった。
どんな日もあってよしか。諦めてしまうとなんだかせつない。
こころにぽっかりと穴が開いてしまったような気分になる。
その穴にも雨が降る。大きな大きな水たまりが出来る。
「あしたははれやって」綾菜の声ににっこりと微笑み今日が暮れる。
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