最高気温が30℃を超え真夏日だったようだ。
今は夕風が心地よく涼風に吹かれながらこれを記している。
午後7時。外はまだずいぶんと明るい。
階下の食堂では娘たちが夕食を食べていて微笑ましい声が聴こえている。
家族ではあるけれどなんだかお隣のご家族のようにも思える。
決して邪魔をしてはならないと思うとふと寂しさを感じるのだった。
同居を始めて今年で9年だろうか。ずいぶんと歳月が流れた。

夜明け前もそうだったが今夜も思うように書けない。
書きたくてたまらないのにいったいどうしたことだろう。
少女時代には鍵付きの日記帳に書いていた。
机の引き出しに入れてあったがある日学校から帰ったら
鍵が壊されていて誰かが読んだ形跡があった。
父であることはすぐに分かったが私は咎めることをしなかった。
読みたければ読めばいいと思っていたのだろう。
それからもずっと書き続けていたように思う。
記憶は曖昧ではっきりと憶えていないのだった。
その日記帳を捨てた記憶もないまま今は行方不明になっている。
どんなことを書いていたのだろう。まったく思い出すことが出来ない。
日記帳とは別にノートに詩を書いていた。
それはいつも学校へ持って行っていたので父には見つからなかったようだ。
学校でも友達に見せることはなかったが好きな人には見て欲しい。
恋の詩ばかりだったからそれは当然のことだったのだろう。
今思えばなんと厚かましい押しつけがましい行為であった。
ノートは6冊ほど。それは奇跡的に今も私の手元にある。
ある意味放浪的な人生であったが肌身離さず持っていたのだった。
何度か断捨離をしたがどうしても捨てることが出来なかった。
ここでもまた死後のことを考える。押し入れの中から発見される訳だが
娘だろうか、それとも孫たちだろうか。手に取って読んでくれるのか。
もしかしたらゴミとして捨ててしまわれるかもしれない。
それならばいっそ遺書をしたためお棺に入れてもらう手もあるだろう。
焼かれて灰になるのがいちばんのように思えてならない。
さてどうしたものか。これは生きているうちに考えておかねばならない。
名のある人の物なら貴重な遺品となるであろうが
名もない凡人の残した物など誰も見向きはしないだろう。
なんだか虚しいものですな。哀しいものですな。
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