ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2023年06月29日(木) 二人の奥さん

昨日のこともあり今日は洗濯物を外干しせずに出掛けたが

午後少し曇っただけで雨は降らずなんだか損をしたような気分だった。

明日からはまた梅雨空が戻ってくるのだそうだ。


山里では義父が稲の消毒に追われていてあたふたとしている。

雨が少しでも降ったら消毒が台無しになるので焦っているのだろう。

苛立ちもあるのかちょっとしたことで当たり散らしたりする。

義父の性格は分かり切っているつもりでも辛い思いをする時もあった。


血の繋がりこそないが「おとうさん」と呼んでいる。

義父は私のことを名前で呼んでくれるが

他人に紹介する時は娘ではなく「事務員」と言うのだった。

社長からしたらそれは当然のことであまり気にはならないが

よく事情を知らないお客さんから「奥さん」と呼ばれるのは嫌だ。

「おばさん」と呼ばれるよりはマシかもしれないが

大概の人が私のことを義父の奥さんだと勘違いしているのである。

おそらく義父が実年齢よりも若く見え、私が老けているからだろう。

母が一緒に仕事をしていた頃にはそんな間違いはなかったが

母が施設に入居してから随分と歳月が流れてしまった。


その母から夕方珍しく着信があった。

携帯電話の着信を知らすランプが点灯していたのに気づいたのだろう。

それは2週間程前に私が掛けていたのだった。

いくら鳴らしても出ないので諦めて切ったことがあった。

もう電話は無理だなと思っていたところに今日の着信である。


心配していた熱は母も忘れるくらいにすっかり治っており

点滴もしていないと言ったが本当かどうかは分からない。

施設の看護師さんからはその後連絡が無かったので信じたいと思う。


「晩御飯はなあに?」と母が問う。

「天下茶屋よ」と応えた。

天下茶屋とは宿毛市内にある野菜炒め風の焼き肉屋さんの名だった。

「ほんじゃけんええ匂いがする」と母が言う。

「ビールも冷えちょるけん来たや」と私が言ったら

「ははは」と母が笑った。母の笑顔が見えるようであった。


「じゃあね、ばいばーい」と母が言った。

「うん、またね。ばいばーい」ぷっつりと母がまた遠くなった。


奥さんは母なのだ。それは誰が何と言っても母しかいないと思った。


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