晴れてはいたが市内ではにわか雨が降ったそうだ。
夫が洗濯物を慌てて取り入れてくれていたが少し湿っていた。
男の手らしく洗濯籠にぎゅうぎゅうと押し込んであった。
山里では安定の晴れ。風が無かったので酷く蒸し暑く感じる。
暑さ寒さも彼岸までと云うがまだしばらくは残暑が続きそうだ。
一度散ったように見えていた百日紅がまた満開になる。
枝先から再度花芽が出て来たのだろう。
散っても散っても後から咲き続けるので百日紅と云うのだそうだ。
夏草の生い茂った職場の庭にそれは鮮やかな彩を添えている。

今日も母の施設のケアマネさんから電話があった。
医師からの伝言でやはり義父に面会に来て欲しいのだそうだ。
忙しいのは理由にはならないことはよく分かっている。
かと云って「すぐに行きます」とどうして言えるだろうか。
長い間別居をしていた母と義父である。
世間一般の仲睦まじい高齢夫婦とは明らかに違うのだ。
憐れに思う気持ちはあってもそれが愛情とは限らない。
今日も仕方なく再度義父に伝える約束をして電話を切った。
昨夜はノンアルビールを「飲みたくない」と拒否したそうだ。
食事も殆ど食べることが出来ずチョコレートを一個だけ食べたらしい。
食欲が落ちるとどんどん体力も失われていく。
栄養剤を点滴しているようだが身にもならないだろう。
電話を切る前に「娘さんはもう面会に来ませんか?」と訊かれた。
私は迷わず「もう行きません」と応えた。
それほどまでに私は薄情な娘である。
母の顔を見るのがとても辛い。それが正直な気持ちでもあった。
今更何を話そう。もう話すことなど何もないように思う。
先日の面会で母の手を握って互いに「ばいばい」と声を掛け合った。
その時にこれが最後になるかもしれないと覚悟をしたのだった。
「もう長くはありませんよ」と宣告されてから
何年も生き続けていた人もいるようだ。
もしかしたら母もそうかもしれないと思っている。
母はそんなミラクルを起こせる人なのだ。
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