朝は少しひんやりと日中は爽やかな秋晴れとなる。
午前9時から母の告別式が執り行われた。
昨夜に引き続き大勢の方が参列してくれて感激に尽きる。
母がどれほどの人に慕われていたのか改めて知った。
お坊さんが遅刻する前代未聞のハプニングもあったが
母がわざと遅らせているかのように思えた。
まだ死ぬつもりではなかったのだ。ちょっとふざけただけだったのだ。
どうしよう本当に死んでしまった。困ったことになったと。
お棺の中の母は相変わらず微笑んでおりお茶目ぶりを発揮している。
だから泣けない。どうしても涙が出てこなかった。
最後のお別れをしてから火葬場へ行く。
それは沢山の花に囲まれたままお棺がゆっくりと焼却炉に入った。
もう熱くはないだろう。痛みもないだろう。
義父が焼却炉のスイッチを押した。
そうしてお骨拾い。さすがにもう母の笑顔は見えない。
こんなに小さかったのかと思うほど骨は粉々になっていた。
弟が泣いている。どうしたらそんなに涙が出るのだろう。
母は確かに死んだらしい。それではいったい何処に行ったのか。
私はずっと夢を見ているような気分だった。
決して悪い夢ではない。どこか現実離れした不思議な夢である。
「じゃあね、ばいばい」すぐ近くから母の声が聴こえて来る。
「お母ちゃんどこ?」いったい何処に隠れているの?
消えてしまったのだろうか。どうしてそんなことが信じられようか。
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