今夜も三日月。昨夜よりも少しだけふっくらとしている。
誰かのこころもそんなふうにふくらめばよいのだけれど。
土足で踏み込まれるのは嫌だ。きっと誰だってそうだろう。
そうして掻き回されるのも嫌だ。いったい何の権利があってか。
触らぬ神に祟りなし。危険だなと思う人には近づかないことだ。
職場の栴檀の木にオリーブ色の実がたわわになった。
夏の風に揺れていた薄紫の花を想う。
夏の終りには雪のように散っていたこと。
栴檀の花もそれはそれは儚い命なのだ。
けれども花が散ってしまった後には必ず実を付ける。
それは冬になると黄金色の実に変わるのであった。
今朝はそんな栴檀の木の実のことを詩に書いてみた。
読んだ人はいったい何の実だろうと思ったことだろう。
私の詩は解り難い。それだけ未熟だと云っても過言ではない。

仕事が忙しく今日も残業となった。
帰り際に職場にストックしてある煙草を持ち帰ろうかと思ったが
それだけはいけないとなんとか思い留まった。
しかし今になって後悔している。無性に吸いたくてたまらないのだ。
家ではずっと禁煙出来ていたのに今頃になってどうしたことだろう。
思い起こせば母が死んでしまってからである。
精神的には落ち着いているようだが何かが狂ってしまったようだ。
もしかしたらまだ母の死を受け止められないせいかもしれない。
今日もあの骨は本当に母の骨だったのだろうかと思った。
義父に話せば「何を馬鹿なことを」と笑い飛ばされてしまった。
粉々になった骨の間に黒焦げになったペースメーカーが転がっていた。
「何よりの証拠じゃないか」と義父は言うのだった。
いったいいつになったら信じられるようになるのだろうか。
煙草は何処にもない。
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