雨のち晴れ。午後から気温が下がり少し肌寒くなった。
昨夜からの雨はまとまった雨量となり恵みの雨となったことだろう。
何処の田んぼも水不足で義父も含め米農家さんは頭を悩ましている。
「穀雨」まではまだ一週間あるが水不足が解消されることを祈るばかりだ。
とうとう「花散らしの雨」となり殆どの桜が散ってしまったようだ。
それも定めであり嘆くことは何ひとつありはしない。
樹齢百年を超えた桜木もある。また巡りくる季節のために生きて行く。
見届けるためにはとにかく長生きをすることだろう。
しかし「定命」がある限り最後の春がきっと訪れるのだ。
「生きたい」願いほど儚い夢はないのかもしれない。

朝のうちに本格的に衣替えをした。
去年は何を着ていたのだろうと思うがけっこう衣装持ちである。
母の形見もあり袖を通すのが楽しみでならない。
特に母が好んで着ていた服は懐かしくて愛着があった。
母を着れば供養にもなるだろう。薄情な娘の罪滅ぼしでもある。
午後はまたごろごろと寝てばかりだったが
3時には目を覚まし夕方まで自室で過ごす。
暇つぶしに昨年の5月の日記を読んでいた。
つい一年前の事なのに記憶は随分と薄れており
お客さんの事など書いていてもそれが誰なのか分からない。
義父の田植えは第三段まであったようで今年もそうなることだろう。
仕事は決して順調ではなかったのだ。よく乗り越えて来たものだと思う。
一日一日を縫うように過ごしている。かと云って何も完成していない。
一枚の布はあっても針に糸を通せなかったり
その糸もそうそう多くは在りはしなかったのだろう。
そうしてゴールは見えない。それは今も同じことである。
けれども書きながら生きて来た。それを誇りに思いたい。
書き残すことで少しでも前へ進めたのではないだろうか。
今日があったから明日があるとは限らないが
奇跡のように夜が明ければ与えられた命がある。
その掛け替えのない命を全うしなければならない。
散って終わりではない。散ってこそ始められることがきっとある。
運命
間違いではない 正しく雨が降っている
残り花に降り注げば もう跡形もなかった
間違いではない 正しく風が吹いている
しがみつく術も知らず 見届けるように散った
どれほどの誇りも もう敵いはしない 運命であろうか 儚さを思い知る
しっかりと根を張り 土と共に生きるだろう
また巡り来る季節に 花として咲くために
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