ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2025年05月07日(水) 枯れない花

黄砂の影響だろうか霞みがかった空だった。

気温はほぼ夏日だったが風があり過ごし易い一日となる。

五日ぶりの朝の山道は清々しく山の緑が目に沁みるようだ。

山里の最初の民家に差し掛かると道路に白い花びらが敷き詰められていた。

見事に咲いていたオオデマリもとうとう散り始めたようである。

今日よりも明日と散り急ぐのは何とも切ないものだった。



9時頃義父から電話があり午前中に退院の許可が下りたとのこと。

よほど嬉しかったのだろう。声は明るく弾んでいた。

10時には来て欲しいと云われ仕事どころではなくなり

大急ぎで車で15分程の県立病院へと向かう。

連休明けのせいか駐車場が満車状態で困り果てていたら

身障者用のスペースに停めるようにと守衛さんが誘導してくれた。

車椅子の患者さんも多いだろうに何と助かったことだろう。


義父は既に身支度を整え子供のように待っていた。

会計を済ませ領収書を見せないと退院出来ない決まりになっている。

そうでなければ私が出向く必要はなかったのだが

ここは全ての経理を任されている私の出番であった。


前回の入院時には足腰がすっかり弱っていた義父だったが

今回はしっかりしており駐車場まで颯爽と歩く。

体力を保つために気力で乗り越えた結果だろう。


11時には山里まで帰り着いていたのだが義父の素早いこと。

昼食を食べ終わるなりトラクターの準備をし田んぼへと向かう。

無理は禁物と云い聞かせたがもう聞く耳も持たない有様であった。

まるで鎖から解放された子犬のようである。

喜び勇んで跳び回っているようにしか見えない。

そうなればもう繋ぐのは不可能である。好きなようにさせるしかない。

無理を重ねれば再発も在り得ることで気が気ではないが

義父の精神力にはとても敵わなかった。


何はともあれ予定通りに退院できたことを喜ぶべきだろう。

後のことは野となれ山となれと思うしかなかった。


義父の入院費に会社の資金を使ってしまったので

またゼロになってしまった。

もう何度目のゼロだろう。慣れたのかあまり苦には思わない。

工場の仕事は後を絶たないのできっと挽回出来るだろう。

何とかするのではなく何とかなるものなのだ。


ほんの少しの気疲れ。それもまたよしと思う。

する仕事があるのは有難く明日も精を尽くして見せよう。

試されているうちが花である。私はまだ枯れる訳にはいかない。


※以下今朝の詩


         花のいのち


      春の花が散り枯れていく
      尽きることは切ないが
      また巡り来る季節がある

      純白の花を茶色に染めて
      無残で憐れにも見えるが
      泣いている花があるだろうか

      風に逆らうこともせず
      ただ受け止める夏である
      花を失くせば緑が萌えて
      いっそうに輝くのだった

      見て見ぬふりをしてはならない

      花として全うした命である
      最後まで見届けてやりたい

      花に重ねる命が在る限りに








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