今朝は今季一番の冷え込みとなる。
秋と云うよりもう初冬ではないかと思う。
明日の朝は今朝よりも気温が下がるのだそうだ。
そろそろ暖房も必要となり冬支度が始まろうとしている。
朝の山道につわぶきの花が沢山見られるようになった。
特に峠道の途中にある谷に群生している。
山からの谷水が流れており何とも風情のある光景であった。
お遍路さんもきっと足を止めることだろう。
職場に着くと看板猫のみい太とその子猫が出迎えてくれた。
餌の催促であったが今朝は猫係のお客さんの姿が見えない。
しばらく待っていたがあまりにも鳴くので私が餌を与えた。
すると直ぐに子猫の姿が何処へともなく消えるのである。
自分は餌が貰えないことを知っているのだろう。
何とも憐れでならないが心を鬼にしなければならない。
しかし不思議なことに子猫は痩せもせずすくすくと育っている。
誰かに餌を貰っているとしか思えず気になってならない。
10時を過ぎると随分と暖かくなり猫達は日向ぼっこを始める。
いつも親子が仲良く寄り添っていて微笑ましい光景であった。
野良扱いなので家の中には入れて貰えない。
これから厳しい寒さがやって来るが耐えて欲しいと願うばかりである。

工場は今日も忙しく活気に満ちていた。
義父は大型車の部品がやっと届いたので本腰を入れて頑張っていた。
お客さんから催促が在り何としても今月中に直さねばならない。
今日は野球観戦どころではなく仕事に集中していた。
同僚は車検整備を後回しにして緊急の一般修理である。
これも急かされており今日中に直さねばならない。
金庫番の私はのほほんとしていたが切羽詰まった状態である。
預金残高はほぼゼロ。現金も底を尽いてしまっていた。
そうなれば日給の私の賃金も賄うことが出来ない。
節約はいくらでもするが食費だけは何とかしなければいけなかった。
今日は何とかなったが明日はどうなることだろう。
奥の手はあるがその手も微かに震えているようである。
会社も私もその日暮らしになった。後は野となれ山となれだろう。
4時前に帰宅して少しうたた寝をする。
いつもと変わらない穏やかな夕暮れ時であった。
三日月は少しふっくらとして西の空に輝いている。
月はそうしてまあるくなるが人生もそうであって欲しい。
欠けるのは一時的なものである。月は決して砕けたりはしないのだ。
※以下今朝の詩(昭和シリーズより)
営業所
高校を卒業して就職した 書籍販売の会社の営業所である
朝礼が終わると営業マン達は外に出て 私は一人で留守番をする毎日だった
壁一面の本棚に沢山の本が並び 仕事中に読んでも良いのだそうだ 子供向けの絵本や文学全集など どれも新品でわくわくとする
営業所の窓からテニスコートが見えた 高校時代に私もテニスをしていて懐かしい 後輩達の姿を見つけると窓から手を振った
四時になると営業マン達が次々に帰って来る 本が売れた人まったく売れなかった人 グラフにすると一番の人は誇らしい顔である
ある日のこと営業所の電話が鳴り 聞き慣れた声で「話がある」と云う 私は「何もお話しすることはありません」と応えた
そうして恋人と別れたこともある
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