相性
その行為において、相性があるとすれば。
彼は以前、相性がいいと言った。
言われるたびに、それだけかと消沈した。
付け加えるように、性格の相性もいいと言った。
反対なら受け入れやすかった。
性格が一番で、ついでのように言われたかった。
君との行為を知ってから、彼の言葉が正しいと思った。

技術云々ではない。
愛情の多寡かもしれない。
行為の後で幸せだと、噛み締めるように言った。
何度も無意識に口にしていた。
今は、何もない。

今日、彼は言った。
誰としても満足できない。
ようとでなければ満足できない。

彼の言う「満足」が、私の言う「幸せ」だと思う。
カラダだけでなく、心から充実感を得られた行為。

抱き締められて胸が痛い。
鳩尾が詰まる。
そんな切ない想いは、彼との場合だけだと知った。

知るために、お互いが別の人との行為を経なけれ
ばならなかった。
知ったからこそ、お互いをまた求め合う。

瞬間的な充足と充実だけれど
あの感覚は忘れがたい。

私は彼を求め、彼も私を求めている。




2004年12月06日(月)

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