2004年12月25日(土) |
不定期連載:「イシドロよ、大志を抱け!_12 ヴリタニス 黒いサンタ編」 |
俺らは今だヴリタニスから何処へも動けなかった。 安宿だしな、今日も朝から「おんな〜♪」の酔っぱらい連中とガッツの兄ちゃん(+俺)の壮絶な戦いが、ってセルピコ、なんでお前が居るんだよ?
「今日の資金繰りは、ガッツさんに代わりにお店へ行ってもらったんです」
ふ〜ん、ガッツの兄ちゃんに売春なんか出来るのかよ?
「人聞きの悪い事言いますねえ、誰が貞操を売りましたか?水商売とおっしゃい、水商売と。そんな大きな声でファルネーゼ様以下女性に聞かれたらどうします?」
あい、すみません‥。 俺はまたしても張り付いたような笑顔のセルピコに、剣の鞘でごりごり小突かれた。 それはそうとよ、今日の酔っぱらい対策はどうすんのよ?最近はガッツの兄ちゃん見ただけで、酔っぱらいは逃げ出すってえのに。そろそろ酔っぱらいが起き出してきて、キャスカの姉ちゃんだのに寄ってくるぞ。
「まあ、なんとかなるでしょう、私でも‥」
「駄目ですーっ!」
げ、シールケだ。風の呪物をそんな事に使ってはいけませんっ!ともの凄い剣幕で怒ってきた。
「‥‥」
セルピコの野郎もすこ〜しだけしょっぱい顔つき。こいつ風のマントで、一気に酔漢吹っ飛ばそうと考えてたらしいな。
「解りました。風の呪物を使わなければいいのですね。では、女性に無礼を働く不逞の皆さん、不肖私がお相手仕ります!」
「げーっへっへっへ、貴族の優男坊ちゃんに何が出来るって〜の」
酒の入ったおっちゃん達は、午前中からからヒートアップだ。 ま、セルピコの外見じゃ、はったりが効かないっていうか迫力が‥ ん?あ、こいつ、眼え開きやがった!
‥‥‥‥十分後
宿には倒れた酔っぱらい連中、死屍累々。
「あ〜お客さん、こんな事は困ります!」
「安心なさい、ご主人。峰打ちです、命に別状はありませんのでご心配なく」
おろおろする宿の亭主に、セルピコは落ち着いて言ったもんだ。 セルピコは剣の鞘だけで一撃必殺、並み居る酔っぱらいを倒していった。
‥‥ほんっと、喰えねえ奴だぜ、こいつ。 ファルネーちゃんに、セルピコ凄えなって言ったら
「セルピコにとっては、このくらいなんでもない事です」
とさも当然の様な顔つきだった。
「しばらく静かに過ごせそうですね。さあ、イシドロさん、朝食が済んだらお勉強をしましょう。ここの処、おろそかになってましたから」
う、セルピコの穏やかな表情がかえって怖い。 なんで教本に「タイタス・アンドロニカス」持ってんだよー!?
ヴリタニス、黒いサンタがやって来る
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