プープーの罠
2004年02月14日(土)

ピンクレモネードの空

情緒不安定。
一度ズレを感じたタイミングは
どんどんズレが大きくなっている気がして
もう巻き返しが図れる気がしない。

映画に行きたいね とハニは言った。
温泉に行きたいね とハニは言った。
それでも私は、私から連絡をするのをやめたら
この関係はすぐに簡単にフェードアウトする
だろうという妙な自信があった。

よりによって不安定な状態に
もはや脅迫的に会わねばならない
ラブリーなイベントですよ。
今日はバレンタイン。
タイミング悪すぎ。

振り返ればバレンタインなんてここ数年
年賀状を書かない私の唯一の 社会人的イベント 化
義理チョコしか買ったことがなかったので
何をあげていいやら見当もつかず、
色めき立ったチョコレート売り場で立ち尽くし、
数時間考えあぐねた末に結局
去年 義理チョコとして
迷いもせずあっさり買ったものと同じものを買い、
何だかそれじゃああんまりだな、
と色んな種類のチョコをちょっとずつ大量に買ってみたけど
かえって"義理チョコ買い過ぎて余ったので処分させてください"的雰囲気。
まぁいいか、
ハニちゃんはチョコレートが好きで
なおかつ飽きっぽいから。

カタチの残るものを人に贈るということに
苦手意識を持ち出したのはいつからだろう。
自分がもらって嬉しいものを贈れば良い、
そんなことは頭では分かっているんですが
実際のところ
私は人からモノをもらうことが苦手である。

待ち合わせ、約束の時間にいつもハニは遅れ、
でも今日はブースカ言うのをやめて
夜景の綺麗な高層ビルの最上階で
おいしいお酒をがぶ飲み、
巨大なカニを死にそうなくらい食べた。
それから 風が暖かいね と
一駅分 手をつないでぶらぶら歩き、
いつも通りかかるだけ 入ったことのないカフェで
ピンクレモネードをふたつ頼んだ。
雨が降り出す。
私はじゃあねと手を振り、
チョコレートありがとね
と、ハニはまっすぐ笑い
彼はこの笑顔を私にしか見せない
ということを私はちゃんと知ってる。

また 今度 という言葉を意識的に避けた。
別にケンカをしたわけじゃないし、
気まずくなるようなことがあったわけでもない
今日だっていつも通り、
しかもチョコレートには
趣味の悪い色合いで、紙面めいっぱいに
「I LOVE YOU」なんてプリントしてあるカードに
アタマの悪そうなこと書いてはさんだ。
なのに 何故 私は これほどまでに
別れ を意識しているのだろう。

来週と再来週は会えないのは分かっているし
次があるにしても3月。
それまでに私は持ち直せてるかしら。

とりあえず
これで一度リセットします。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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