SAY-TEN DAIRY 〜晴天日記〜

2004年06月16日(水) 風を抱きしめて

初めて浜田省吾の歌を、
レンタルCD屋で借りて聴いたのは、
「LONLEY」と言う曲のシングル盤だった。
その歌はそのカップリング曲だった。
B面にありがちな、退屈な歌と感じた。
――――それをはじめて聴いた時は

そのシングルCDを2曲ともカセットにダビングし、
車で、またウォークマンで、日々繰り返し聴くうちに、

タイトル曲よりもカップリング曲の
その歌の持つ優しさが心に染みてくようになった。

歌のタイトルは、
「もうひとつの土曜日」

『 昨夜眠れずに 泣いていたんだろう?
  彼からの電話 待ち続けて
  テーブルの向こうで 君は笑うけど
  ひとみ縁取る 悲しみの影  』

今、目の前にいるキミのようだ。
また昨夜も、泣いたのかな・・・?
“なみだの河”を泳ぎ疲れたみたいな、弱々しい笑顔・・・。

すべてを赦すということ。
すべてを受け容れるということ。
そして、いたわり合い支えあうということ。

それは若くて蒼い頃の“情熱”とかいった
激しくぶつけ合うようなものでなく、
人の悲しみや痛みに、そっとハンカチを差し出すような
そんな“同苦”できる者達の
愛の姿の断片を描いた歌だ。

静かな波の音のように、
涼しげな月の灯りのように
心に伝わり広がっていく・・・。
とてもとても優しい歌だ。

オレが浜田省吾が好きだといったら、
真っ先にこの歌が好きだと言ったよな?
この歌はこう歌っているよ。

『 もう彼の事は 忘れてしまえよ
  まだ君は若く その頬の涙
  乾かせる誰かが この街のどこかで
君の事を 待ち続けてる 』

そう。
誰かが、きっと、待っているはずだ。

きっとキミを
ありのままのキミを
赦し、
受け容れ、
少なくとも現在のクズのような彼よりは、
誰よりも、
誰よりもキミの事を愛してくれる人が
きっときっと、待っているはずだ。
探してみてごらんよ・・・。


数歩ほど離れた歩幅の後ろで、
キミは空を見上げて
風を抱きしめていた。

「・・・でも・・いいよ、今のままで。
・・・今のままで・・・いいよ。」

街のノイズにかき消されてしまいそうな
小さな小さなキミのその独り言。

ため息をつきながら、
そっと聞こえないふりをして、数歩先を歩く。

でも、時々立ち止まって振り向く。

キミがどこかへ消えてしまわないかを
確めるために。
そして、そこにキミがいることを
確めるために。


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