2007年03月02日(金) |
小説「芽むしり仔撃ち」 |
著者:大江健三郎
通勤読書に全く向かない一冊をご紹介。
頭が中々現実に戻って来れず 「え、これから会社行くなんてウソウソー」 となってしまう一冊です。大江先生ったら! (先生のせいじゃないけどな!)
とにかく文章がいちいちずっしりとしていて 胃にもたれるつうか(注:褒めてます) でもすごく面白くてどんどん読み進んでいきます。
閉塞した田舎の空気を書くのがうまい人として 私は小野不由美をよくあげるんですが 大江先生の容赦なさと冷静さも相当でした。
望みの無い生の中、それでも生きるために走り出す少年を 痛々しいと感じながらも目を逸らすべきではないと思いました。 でも見つめすぎてもならないんじゃないかとも最近は思います。
モノを見つめ考えるにはそれ相応の強さも必要です。 痛みに飲み込まれない強さ。同調しすぎない強さ。 何かをきちんと受け止めるには溺れちゃいけないんじゃないか? と思いました。
弱さは悪いことではない。 私は強さをあまり持っていない。
でもなんとかこれを受け止めて自分ではなく 外に向かって変換することはできないだろうかと。 少年に同調し少年の痛みを自分の痛みのように受け取るのでは無く、 少年の痛みを受けて自分が外に向かってどうするべきなのかを。
自分が自分のためでなく 誰かのために、何かのために 何ごとかができないだろうかと。
人生で初めてかもしれない。 自分以外の方向からものを考えました。
まあ、常にではないですが(爆)
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