気まぐれ日記

2005年09月18日(日) ちょっと商売論めいたこと

 「お客様は神様です」

 誰が言い出したか知りませんが、有名なこの言葉。
 これは真実でもあり、ウソでもあります。

 というのは、「お客様」っつー単語には2種類の意味があるからなんだそうな。

 ひとつは「お店に来てくれる人」全体を指したもの。
 もうひとつは、「お店に利益をもたらしてくれる人」を指したもの。

 利益をもたらしてくれる、なんて言うと、何やら損得だけで価値を量ってるようでやらしいイメージを受けるかもしれませんが、ではこんな風に言ってみたらどうでしょう。

 明らかにその店には用がなくただの暇つぶしに来ただけの人で、他に回りに買い物中の人がいるにも関わらず、大声で喋り、通路の邪魔をして、あげくの果てに買おうとしている人の前で商品のあらを探していたりする。
 そんで何か買うかと思えば、店の文句を(大きな声で)言うだけ言って帰っていく。

 さて、この人は店にとって利益をもたらしてくれる客でしょうか?

 答えはノーです。
 下手すると、営業妨害で訴えられてもいいかもしれません。

 「こちとら慈善事業してる訳じゃねえんだよ」というのもどこかで聞いた覚えのある台詞ですが、まさに商売とはそういうものです。なぜ店員さんは時間を割いて私に接してくれるのですか?それは今回のあるいは次の売り上げに繋げるためです。別に個人的に優しいからではありませんし、暇だからでもありません。
 そこを履き違えると、あなたはお店にとって迷惑な人と認識されてしまいます。店に用はない、マナーも悪い、でも態度はでかい。口癖は「お客は神様だろ?」という人がもしいれば、何故行く先々の店員が皆態度が悪いのか、一度自分を見直して考えた方がいいでしょう。


 サービスの話になりますが、商売をしている人が何故お客を大事にするかという事は、必ずしもその日物を売るか売らないかというだけではありません。人は誰でも自分を必要としてもらいたいという欲求を持っていますし、あなたがお店で働いている人ならば、自分あるいは自分のお店を必要としてくれる人に喜びを感じ、もっと親切にしたい、必要とされたいと思って当然です。
 「今後この店で買い物をする予定は全くなく、おまけに今日は完全に冷やかしで来た」という人にも心からのサービスが出来る人は、どちらかと言うと商売魂ではなく宗教心に近い物があります。それは悪い事ではありませんが、全く興味のない人にまで愛想を振りまいて、本当に必要な人からのサインを見過ごすようであれば、プロの営業としては失格です。


 お客も店員も、みんな同じ人間です。何の見返りもなく親切にしてくれるのは肉親だけだと思った方がいいでしょう。あなたがいつも友達や大切な人にしているように、気持ちのよいことをすればそれが返ってきて、不愉快な気持ちをぶつければそれが返ってくる、それだけの事だと思えば、サービスをする方もされる方もいろんな思いを抱かなくて済むのです。
 もし、あなたが客であれ店員であれ、自分から悪いアクションを起こしたのではないのに気分の悪い思いをさせられた場合、そしてそれにフォローもない場合は、状況に応じて怒りをあらわにしてもよいでしょう。ただしあまり正論ばかりぶつけると相手は逃げる隙も折れる隙もなくなり、ただひたすら潰れていくばかりになります。ご注意を。


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