ぶらんこ
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2006年11月03日(金) カタカナ

わたしの姓はカタカナだ。
結婚するときに変わった。

後になってわかったのだが、姓を変更せずとも良かったらしい。
役場で「姓をどうされますか?」と聞かれたときに、はて?と思ったのだが、普通の婚姻と同様にしてもらった。
何も旧姓をキープする必要もなかろう、と思ったのだ。
そのために、わざわざ「氏(うじ)の変更願い」という書類まで書かされた。
面倒なこった・・・と思いながら記入した。

夫には「戸籍」というものが存在しない。
よってわたし自身が戸籍の筆頭者となる。
わたしの旧姓は縦線で消され、その横にカタカナで新たな姓が書かれた。
こうしてわたしの姓はカタカナになった。
カタカナでなくとも良かったのだろうな、と今になって思う。当て字とか。
或いは全然違う名前でも案外大丈夫だったかも。
夫の姓の読み方(日本語表記による)はわたしが勝手に決めたのだから。


カタカナの姓を名乗るということは、日本では面倒なことになる。
そうわかったのは、もちろん変更してからだった。
名乗った後には必ず「え?」と聞き返される。
そのうえ、「あなたは何人ですか?」と聞かれる。
ふざけて「フィリピンです」と答えたことがあったが、大抵、騙される。
こんなに流暢な日本語を喋っているのに。笑


日本で暮らすには日本語の名前のほうが「住みやすい」。
帰化するときに名前を変えるのは、そういうことも理由のひとつなのだと思う。
気持ちの切り替え、ということもあるのだろうけれど。


訪問で新しい患者さんを受け持つとき、わたしはIDを見せながら名前を言う。
姓はカタカナで読みにくい(発音しにくい)し、馴染みがないだろうから、名(まこ)で呼んでもらう。
だから患者さんは皆、わたしのことを「まこさん」とか「まこちゃん」と呼ぶ。
それはそれで嬉しい。

先日、新しく受け持った患者さんは、わたしのカタカナの姓を一生懸命覚えてくれ、二度目の訪問のときにはカタカナで呼んでくれた。
でも、やっぱり、しどろもどろ。

「あーーダメだ。カタカナで難しいから。やっぱりまこちゃんでいいね。」
「上手に言えてましたよ。でもカタカナは大変だからまこで良いです。」
そう言ってから、ふと気付いた。

「あっ でも、○○○さんもカタカナじゃないですか〜。」
「あらっ そうだった!○○○って、変な名前でしょう。恥ずかしいわー。」
「そんなことないですよ〜。」

わたしたちはふたりして大笑い。
患者さんの名前は(姓でなく名のほう)カタカナだったのだ。
そういえば昔の人はカタカナの名が多い。

カタカナも・・・悪くないなぁ。笑






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