2003年08月19日(火) |
第17章 冷たい態度 |
会社には、休憩室があった。
企画室は、禁煙のため、喫煙する人は、商談室か、休憩室と決まっていたのだが、 商談室のテーブルが、お客さんで埋まっている時は、 男性も女性も休憩室にタバコを吸いにいく。
休憩室の奥に女子ロッカーがあるため、ロッカー室にいく場合、必ず休憩室を 通らなければならない構造になっていた。
ある日、私は、朝出勤してから、朝礼が始まるまでの間、その休憩室で タバコを吸っていると、みかちゃんが、大きな紙袋を持って出勤してきた。
みかちゃんは、近頃急激に、魅力を増してきていた。 もともとぽっちゃり型だったみかちゃんは、見事ダイエットに成功して、 輪郭もすっきりして、くりくりした瞳は、きらきらと輝きを増していた。
かつて私がそうであったように、服装も、カジュアルなものから、セクシーなものに変わった。
ロッカー室へ行くみかちゃんが視界に入った私は、 その紙袋に、「女の勘」を感じた。
彼に違いない!
そう、みかちゃんが彼と密会してるんではないかと直感で考えたのだ。
まさか、考えすぎだよ。
悪い予感を振り払って、朝礼のため、企画室に戻った。
その日から、みかちゃんは週に一度くらい、その大きな紙袋を持って出勤してきた。
現に、その日の彼の服装は、前日と同じであることが多かった。
そういえば、彼とはもう三週間もの間、密会していない・・・・・。
仕事中、彼とみかちゃんの行動を視界の端で追う私。 なんとか思い過ごしであってほしい。。。。。 ただの思い過ごしであるという確信がほしかった。一刻も早く、彼に会って確かめたい。 会う約束をとりつけなければ。。。。
彼が、一人になるチャンスをみはからって、彼に近づき、 「今日は?」と聞いた。 「今日は、仕事が忙しい」彼の答えは、いつもこうだった。
しかし、どうしても、会って話したかった。
良い結果にしても悪い結果にしても、 この中途半端な気持ちでもやもやした生活から、おさらばしたかった。 はっきりした答えを直接彼の口から、聞きたかった。
ある日、私は、商談のため、得意先に出かけた彼の帰社時間が、8時となっているのを確認して、その時間を見計らい、駅で待ち伏せをした。
長い時間待って、やっと彼の姿が見えた。
「なんで会ってくれないの?私は、どうなるの?もう苦しい・・・。」 彼を問い詰めた。
いつもやさしかった彼が、私に対してはじめてイライラした口調で言った。
「俺にも考える時間をくれよ!」
そう言って彼は、立ち去った。
私の目から涙が溢れた。
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