2003年08月21日(木) |
第18章 意外な展開 |
その日以来私は、彼に、自分から接近することをやめた。
会わなくなってもう一ヶ月も過ぎていた。
相変わらず、彼は、はっきりしないままで、 それでも、みかちゃんとは、仲がよさそうで・・・・ それならそれで、はやく言ってほしい。 こんな中途半端なままで、そんな姿、みせないでよ・・・・。
私は、みかちゃんと彼のことが、ただの思い過ごしなのかどうかもはっきりせず、 宙ぶらりんのまま、毎日毎日苦しんだ。
私の心は、失望感でいっぱいだった。
醜い女の醜い部分は、日に日に成長を続け私を支配していった。
みかちゃんと彼が、残業しているときは、私も残業をした。 まるで彼が、みかちゃんを誘わないかどうかを見届けるように・・・・。
辛いのがわかってるのだから、よせばいいのに、 どうしてもこの目で、確かめてみたかった。
会社の女の子たちの間では、もう彼と私の噂で持切りだったことだろう。 女というのは、噂好きな生き物である。私は、女に生まれた事をうらんだ。
ただ、唯一ラッキーだったのは、そうやって、残業しているうちに、 たまっていた仕事が、片付いていった。
それを見届けたい気持ちとは裏腹に、彼とみかちゃんをみているのに耐え切れず、 考えないようにその時間だけは、仕事に没頭した。 そんなつもりはなかったが、新しい得意先との商談にこぎつけることができた。 そして、大口の取り引きが決まった。
しかも、これからも継続して取り引きを 続けたいので、もう一つ、新規でブランドを立ち上げてほしいということだった。 会社にとっては、すごくプラスになる得意先であった。 まさに棚からぼたもち。ひょうたんから駒。思いがけない幸運だった。
わたしは、一気に二つのブランドのチーフとなってしまった。 わたしの部下は増え続け、仕事は益々忙しさを増した。
通常なら、願ってもない成功と幸せだが、ちっともうれしさを感じなかった。
仕事に全くと言っていいほど意欲がなかったのだから。。。
ある日、いつものように、たった一人で休憩室でタバコを吸っていると、彼が入ってきた。 わたしがそこにいるのを知っていて入ってきたのである。
「忙しそうだな」と微笑んだ。
なんで、急に、わたしに微笑むのだ? やっぱりみかちゃんとは、なんでもないのか? それとも、タバコを吸いに来たら思いもかけず私がいたので、 いたしかたなく、平静を装っているのだろうか???
ハテナマークでいっぱいの私に、彼はおかまいなしに、世間話を始める。 かつて仲良く楽しく密会していた時のように。。。。。
咄嗟に私は、思い切って口をきった。
「会いたい。あきらちゃんとゆっくり話がしたいよ。前みたいにもっといっぱい会いたい。」
彼は、一拍おいて 「そうだなぁ。そろそろいいかな」
意外な言葉に私は驚いた。 どうせまた、断わられると思っていたからだ。
「じゃあ、今日、仕事が終わりそうになったら、時間と場所を言うよ」 そう言って彼は、その場所を後にした。
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