ハッピーステップ
泥沼生活から、這い上がった軌跡(日記のはじめのほう)を書いた後
最近では、日常の感じた事をつらつらと、不定期に更新中ですm(_ _ )m

2003年08月29日(金) 第24章 精神の病

朝から晩まで仕事で駆けずり回り、
夜中はたびたび長い道のりを徒歩で帰る生活。

そして、社内では、問いかけられても一切、仕事の話以外には、答えようとはしなかった。

私のプライベートにとやかくつけ込んで、私の全てを奪ったものたちに、
たとえ、日常の会話であったとしても、今更、プライベートの過ごし方を明かすなんてこと絶対にするものか!


   精神の壊れた私は頑なだった。


ある朝、着替えを済ませた私は、自分の姿を鏡に映して気が付いた。

そこには、足のラインがほっそりとして、
ウエストはスッキリとしてミニスカートをカッコ良く着こなしている自分がいた。

「きれいになってるかも。」



復讐の始まりから私は、不規則な生活ながらも、自分の外面を磨く努力は、
決して怠りはしなかった。
毎朝のように1時間かけて湯船に浸かり、抜かりない服装を心がけ、
丁寧にお化粧をして、自分をぴかぴかに磨き上げて、
始発で出勤した。。。。

あきらちゃんを見返してやるために。。。

それがある朝、気が付くと、無意識にしろ体型もかなり磨きがかかっていたのである。



過酷な環境で、長い間過ごしていた私の精神は、自分で気が付かないうちに、
かなり壊れてしまっていたようだ。


「もっともっと痩せたい」


私は、そのハードな生活のなかで、極端に食事制限を始めた。

朝食抜き、昼は、カフェオレもしくは、トマトジュースのみ。
夜は、海草やこんにゃくなどの超低カロリー食
どんどん異常な行為はエスカレートしていった。


もともと、身長160c 体重47kg、それほど太っているというわけでは
なかった私であったが、その極端な生活と食事制限のため、
体重は、どんどん落ちていき、とうとう38kgにまで落ち込んでしまった。

そう、拒食症である。

月のものもきちんとあったし、病院へも行かなかったが
それは、まぎれもなく拒食症であったと思う。

それほどまでガリガリになっていても、
固形物が、自分のお腹のなかに入ることを極端に恐れた。
恐ろしい病気である。


そのガリガリの身体をひきずって、異常なまでに仕事に身を投じる私。
はたの者達が、気付かないわけはなかった。




一番初めに、私にやさしい声をかけたのは、
はじめから一緒に組んで仕事をしていた高瀬さんであった。




その日も私は、いつもの様に夜遅くまで仕事をしていた。

ほかのみんなは、もう帰ってしまったのだろう。

今日も一人で残業。
そう思っていると、ふっと、部屋に高瀬さんが入ってきた。

「まだ帰らないの?俺ももう終わって帰るけど?一人になっちゃうよ?」
「はい、まだやります。高瀬さん、帰ってくれてもいいですよ。」
「いつも遅くまで頑張るね。」そう言って、部屋から出て行った。

帰ったんだなと思ってしばらくすると、
高瀬さんが、コンビ二の袋を抱えて戻ってきた。

「腹へってない?これ食おうよ」
そういって、温かい肉まんを差し出した。

肉まんを受け取った私は、復讐の日がはじまって以来、
社内で初めての微笑を高瀬さんに向けた。

高瀬さんの温かい言葉、そしてふわふわの温かい肉まんは、
私の頑なな心を少しだけ溶かし、気を緩ませた。


気が付くと、私の目から、涙が溢れていた。

「私、絶対にずるいことなんてやってません。中村さんとのことは、
いいことだとは思わないし、私に悪いところはたくさんあったと思うけど、
みんなが思ってるようなこと、絶対にしていません。くやしかったから・・・」

後は、言葉にならなかった。


高瀬さんは、静かに言った。

「俺はわかってるよ。誰がどんな性格のやつかなんて、気付いてないふりしてるけど、わかる人はわかってるよ。だから、もう過去の事は忘れて、普通にしていたらいいよ。
そこまで、自分をつぶす事ないよ。
社長だって、随分昔に言ってたよ。
あの手紙のことは、漁夫の利で、自分の格をあげようとした人間の仕業だって。」

「だけど・・・」

高瀬さんの優しい言葉が胸にしみて涙がこみあげ、言葉にならなかった。


「俺はね、万が一、仮にあの怪文書の犯人が、りかちゃんであったとしても、
りかちゃんの事は、人間として信用してるし、好きなんだ。」


もちろん、その「好き」というのは、恋愛感情のそれとは別の意味である。


この日、高瀬さんと話した事で、私の頑なな心は、徐々にとけていくことになる。


拒食の症状も、ひどくなる前に回復していった。



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