2003年09月02日(火) |
第27章 虚無の日々(part 1) |
仕事は順調であった。 毎日忙しい日々は相変わらず続いていたし、 私も、全力で仕事に取り組んでいた。
しかし、私の心には、ポッカリと穴が開いている。
私は、その穴を埋めようと、過ちを繰り返した。
その始まりが、人恋しさのあまり見知らぬ人と、一晩すごした出来事。
その人が、出張から帰った後も、時々携帯に連絡があった。
「好きになってしまったんだ。また会いたいので、そっちに顧客をつくった。 これからは毎週会いに行くよ。会ってほしい。」そんなことを言っていた。
彼も既婚者であった。
そんな事は、この時の私にはどうでも良い事。
彼とはその後、数回会って、身体を重ねた。
彼はとても優しかったし、私は人恋しかった。
ただそれだけ。
これがあきらちゃんだったら。。。 彼と会うたびに、心ではそう思っていた。
いつも物憂げな私に気付いたのか、ある日別れ間際にその人が言った。
「いつも会いに来るよ。ずっと一緒にいような。一緒にいて欲しいんだ」 そして、力強く私の手を握った。
一人になって、帰り道、もう彼と会うのはよそう。そう思った。
また切なくなった。
その人に対してではなく、その人があきらちゃんでないことに・・・・。
次に出会ったのは、設計士の独身男性。 友人の勤める某大手建設会社を退職後、独立し自分で事務所を設立しているらしい。
友人に見せられた、会社の慰安旅行の写真に、その人が写っていた。
「このひとかっこいいね」 私の一言で、勝手に友人がお膳立てをしてくれた。
ホテルのカウンターバーで待ち合わせをして、 軽く食前酒を飲んでから食事へ。。。
その後、別のバーでまた飲んだ。
何もかもがスマートで、そつのない行動。
この人ならいいかな。。。。 この時は、そう思った。
間違いのないよう言っておくが、私がそう思ったのは、 (この人なら、あきらちゃんを見返すことができる。 あなたよりも、オシャレでスマートな行動をする彼よ。 そんな風に見返すことができる。)そういう意味でだった。
呪縛から解き放たれていない私は、 つねに、あきらちゃんの事が、頭に付きまとう。
人恋しい私は、飢えた犬が尻尾を振っているように 彼には見えたのかもしれない。
半ば、自分の方から、話を色気話に持って行き、誘われるのを待った。
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