2003年09月06日(土) |
第29章 新しい恋のはじまり |
忘年会も終わり、新年が始まった。
私がこの会社にいるのも、あと三ヶ月である。
新年の仕事が始まってから、数日後、山上さんと休憩室で一緒になった。
会話が弾み、楽しく笑っていたところ、ふいに、山上さんが言った。
「会社やめるまでに一回、飲みにいこうよ。」 「いいですよ~」 「じゃあ、来週にしよう」 私たちは、軽い調子でのみに行く予定をたてた。
次の週、山上さんと私は、食事をかねて飲みに行った。
二人で、話は楽しく盛り上がって、大笑いしながらの楽しいお酒であった。
「今日は、すっごい楽しかったです。」私が言うと、山上さんは、 「俺も、すごいよかった。昔のことだけど、りかちゃんを辛い目に合わせたのは、俺のせいかもしれないって、ずっと、罪悪感があったんだ。 ずっとずっと謝りたかった。 ほんとに、ごめん。素直にその言葉を言えなくてさ。 あんなに大騒ぎになってしまったから。 ずっと、嫌われてると思ってたんだ。」と言った。
「いいんですよ、もう昔の事だし、私も悪かったんだから。そんなことより、 今日は、すごく楽しく話せたし、また、行きましょうね~」 そう言って、私は、笑った。
「じゃあ、また、来週行こう!」
次の週、また山上さんと、約束をした。
山上さんと、昔のしこりを無くすような会話をしたことで、 私のトラウマは、随分と軽いものになったようだった。 山上さんと話していて、ほんとうに楽しかったのだ。
二回目の約束の時も、もう一度、山上さんは、私に謝ったが、 もう山上さんに対して、何のわだかまりもなかった。 それよりも、会話をしていることが楽しくて、時間を忘れた。
お店を出て、大通りの交差点で、信号待ちをしていた。
「俺、今日は、明日朝はやいから、このままビジネスに泊まるつもりなんだ。 りかちゃん、どうする?」
どうするって・・・・。どういう意味だろう? 心の中で、その言葉の意味合いを探った。
なぜだか、私は、山上さんとこのまま一緒にいたいと思ったのだ。
それは、これまで犯してきた過ちの気持ちとは、また別物だった。 山上さんと、一緒にいたいと思ったのだ。
ふいに、山上さんが私の手を握って、 いままで歩いていた道をそれた。
「じゃあ、何もしないから、一緒に泊まろうか」 手を繋いだまま、歩き出した。
「うん」私も黙って、従った。
何もしないわけないではないか。 もう五年前の、無邪気な私ではない。 色々な過ちを繰り返し、私は、すっかり、 そう言う部分でも大人の予測をできるようになっていた。 そう言う意味をすっかりわかりつくしていても、 私は、山上さんとホテルへ行くことを選択した。
はっきりとした自分の意思で。。。。。
私は、いつの間にか、山上さんに恋をしはじめていた。 あきらちゃんと別れて以来の恋に私の心は、ときめいていた。 タイミングのいい始まりだった。
ただ一つの問題を除いては・・・・・・。
山上さんも既婚者であった。
|