2003年09月10日(水) |
第31章 別れのち意外な展開(続き) |
それから、私は、ゆっくりと次の仕事先を探しながら、心を休めた。
半年ほどゆっくりしてから、ある会社に転職が決まった。
年契約で、おどろくほどの年棒で採用してもらった。 残業は一切無し、年棒は、同じ年の同じ職種の仲間達と比べると、 かなり良かった。
しかし私は、この環境に、なにか物足りなさを感じていた。 会社は、かなり年上の人たちばかり。 前のように活き活きとした生気が、この会社には感じられなかった。
まいにち、真面目に仕事をこなしたが、淡々とした毎日を送った。
そんな生活を一年半ほど過ごしたある日、 会社帰りにブラブラと歩いていると、懐かしい顔があった。
それは、みかちゃんであった。
私は、大声で、呼び止めた。「みかちゃん!!!」 「あ〜っ!どうしてるの?」
内心どこかで、あきらちゃんとはまだ続いているのかな? そんな考えが浮かんだが、 もともと、私は、みかちゃんに対して、どうこう思っていることは無かった。 みかちゃん自身は性格は、とても良い人間であったし。 何のわだかまりもなく声をかけることができた。
「半年前に、会社は倒産しちゃったの。」
一瞬耳を疑った。
「時間あったら今からお茶でも行かない?」 誘われるままに、みかちゃんと喫茶店にいった。
そこで、会社が潰れた経緯やら、それからどう過ごしているかなどを聞いた。 会社は、私が辞めてから一年ほどで倒産したらしい。
社長が、りかちゃんの力は大きかったと言っていたこと。 私が、やめてから、伝説のように私のことをみんながいつも話題にしていたことなどを話してくれた。 会社が倒産してしまったのは寂しかったが、 正直、うれしい気持ちも大きかった。
私がやってきたことは、無駄ではなかったのだと。
その後に、みかちゃんは唐突に私に言った。
「りかちゃんに一つだけ謝りたいことがあるの」
細かい事はわからないが、どうせ、あきらちゃんの事だろうと思った。
「何?」とは聞いたが、今になってその話をほじくり返さないでほしい。 それが、本心だった。
謝られても、あの時間が戻るわけもないし これっぽっちだって、みかちゃんが悪いとも思っていないし。 そのことで謝られると、惨めになるだけではないか。
せっかく、こころの奥のほうで、あきらちゃんとの思い出は 小さく小さく固まりかけた時なのに。
しかし、この後の話は、私にとって驚きの連続であった
|