2003年09月14日(日) |
第33章 再びの出発(続き) |
お店を出た。
以前なら、このままホテルへ行っていた。
内心、どうなるのだろう。 このまま「じゃあね」そう言うのだろうか。 そうなったら、もう会えないのだろうか?
そんな思いが頭を巡っていた。
当然のようなしぐさで、あきらちゃんは、私の肩を抱いた。
やはり、私たちは、その夜、身体を重ねた。
まるで、昔からずっと合い続けているように、自然ななりゆきであった。
懐かしい肌の感覚、それでも、気のせいか以前より随分やさしいものに感じた。
彼の顔が、私の胸の上に覆いかぶさっている。
私は、そっと、彼の頭に触れた。
昔と変わらず、やわらかくて気持ちいい髪の毛。
私の上にいる彼の肌が、やはり昔のように私の肌に吸い付く。
アノ肌の感触。。。。。何もかもが、懐かしい。
たった一つ違うことと言えば、彼が、以前より随分とやさしくいたわるように 私に触れていることであろう。
私は、あきらちゃんに触れながら、頭ではいろいろなことを思い巡らせた。
横には、彼の気持ちよさげな寝顔がある。
もう引き戻ることなど、皆無である。 この人でなければ、だめなのだ。
なぜか、その寝顔を見ながら、 私を通り過ぎて行った数々の男性が思い出される。
辛い呪縛を解けなくて、数々の過ちを繰り返した日々のことを思った。
いろいろな人に、抱かれた。 しかし、私をここまで幸せな気持ちに導く人はいなかった。
誰に抱かれていても、この人の事をいつも想っていたのだから。。。。
おそらく、好きで付き合ったはずの、山上さんと居る時でさえ、 私は、自分でも気付かずにあきらちゃんを想っていたのかもしれない。
あきらちゃんなら、既婚者だろうが何だろうが、かまわなかった。 私は、この人を何年も待ち続けていたのだ。
そして、今、この私の横で、すやすや眠っているのは、 私を何年間も苦しめた張本人、あきらちゃんなのだ。
もう、行くところまで行くしかない。
思いもかけない形で、私の奥底に仕舞われたあきらちゃんへの想いは、 再び、引き戻せない世界へと、旅立ち始めた。
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