2003年09月17日(水) |
第35章 無意味な答え |
しばらく黙った後、あきらちゃんが答えた。
「りかは、山上君とか、俺との関係をうだうだ考えることは、おかしいよ。 俺より、いい男は、他にいっぱいいるよ。もっと、他に目を向けないと。」
私は、期待どおりでない、あきらちゃんの答えに、落胆して言った。 「じゃあ、どうして私に会うのよ。」 「会いたいからだよ。」 「わけわからない。そんな、気持ちのない会い方なら、もう会いたくないよ。」
あきらちゃんは、少し言葉を選びながら、説明した。
「俺は結婚してるんだ。このままずっと、続けれるわけないじゃないか。 昔、ホントはね、一度離婚を考えた事があったんだ。 俺の奥さんに、他に好きな子ができたって、正直に言った。 泣いていたけどね。そのとき、精神的にホントにしんどかったよ。 もう、俺、そう言うことでごたごたするのに、疲れたんだ。」 私は、あきらちゃんが、昔、離婚を切り出したことがあるということについては かなり、驚いていたが、話を先に進めた。
「今は、そんなこと言ってないよ! 離婚してくれなんて言ってるんじゃないよ。 気持ちのことを言ってるんじゃない。 会って楽しいから会ってるだけだったら、他の人でもいいじゃない! 他の人にしてよ! そんな意味のない会い方するために、私を選ばないでよ!」
私は、ただ、あきらちゃんが、好きだから会ってるんだよ。 そう言ってくれればそれでよかったのだ。 ただ、私の事が好きだと言う言葉が聞きたかっただけであった。
思いがけない方向に話が進んでしまった。
それでも、私は、続けた。 「疲れた?笑わせないでよ!あの会社に居る時、 私がどれほど苦しい思いしたと思ってるのよ! あんたなんかより、私のほうがよっぽど辛かったよ! もう私に電話しないで!」
そう言うと、あの辛かった日々を思い出して、涙が溢れた。
あきらちゃんは、言った。 「それでも、会いたいと思えば、俺は電話すると思う。」 怒りにも似た感情がこみ上げた。
「もう、私と会わないで」 そう言って、一人、席を立って店を出た。
駅への道をただ、呆然と歩いていると、いつの間にか、あきらちゃんが 追いかけてきていた。
私の腕をつかんで、「どこに行くの?」そう言った。
「帰るに決まっているでしょ!」 私は、かまわずに、駅の入り口へと向かった。
「帰るなよ」 あきらちゃんは、私の腕を引っ張った。
「どうしろって言うのよ!」 私は、そう言って、なぜか、あきらちゃんの方に振り返り、 涙を流しながら、あきらちゃんの胸の中でうずくまった。
涙が止まらなかった。
泣きながら、「あきらちゃんは、ずるすぎるよ。私はどうしたらいいのよ。 なんでまた現れたのよ」独り言のようにつぶやいた。
あきらちゃんは、優しく私の背中をなでていた。
勢いで、そう言う行動をとったが、我にかえると、そこは、人通りの多い、 駅近くの道の端っこである。
でも、涙が止まらない。
「ごめんね、私がこんな事してたら、あきらちゃん、かっこ悪いよね」 あきらちゃんの胸にうずくまりながら、言った。
「いいよ、大丈夫」 やさしくそう言って、いつまでも私をなでた。
私は、一体、これから先、どうなるのだろうか。。。。。
その夜も、やはり、あきらちゃんと一晩過ごした。
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