2003年09月20日(土) |
第36章 前進(part3) |
その日も、ホテルに泊まった。
彼と抱き合っている時、彼がふいに 「好き」そう言った。
今まで抱き合っている時に言葉を口にする人ではなかった。
これは、本心なのだろうか。 それとも身体を合わせているときに出た言葉なのだろうか。
離婚なんて望んでいない、ただ、こうやって私と会っていること、 抱き合う事 それが、好きだという気持ちが前提であってほしかったのだ。
次の日は、仕事は休みであった。 二人で、すこし早いお昼ご飯を食べた。 街をブラブラと二人で歩いた。 映画も観に行った。 まるで、ごく普通に付き合っている彼氏と彼女のように・・・・
この人の事をまたどんどん好きになっていってしまう・・・・。 気持ちのブレーキが効かない。
夕方になって、駅へ向かっていると、あきらちゃんが言った。 「もう少し歩きたいな」 「じゃあ、一駅歩こうよ」私が答えた。
二人とも、なぜか無口になっていた。
ずっと一緒にいたのに、もうすぐ離れ離れ。
ふいに、あきらちゃんが私の手をギュッと握ってきた。 そのままで、歩いた。 春の肌寒い風が吹いているが、気持ちは暖かだった。
もうすぐ駅だという時にあきらちゃんが口を開いた。
「りかの事好きじゃなかったら、もう一度こんな風に会ったりはしないよ。」 突然のこの言葉に、私は、あきらちゃんの顔を見た。
「俺って、意外と照れ屋なんだ。」彼はそう言って笑っていた。
駅について、逆方向の私たちは、ここでお別れ。
私の背中にやさしく手を添えて、彼が言った。 「また、電話するからね」 「うん」
あきらちゃんが、私への想いをはじめて打ち明けてくれた。 帰り道、まるで、生まれてはじめてのデートを終えた時のように 私の心は、ふわふわドキドキしていた。
|