2003年09月27日(土) |
第40章 不信と不安(続き) |
次の日、何回かに分けて、その大きな金額を あきらちゃんの口座に振り込んだ。
私の定期預金、郵便貯金、全てを解約して・・・・・。
その週末、再びあきらちゃんと会った。
いつものように楽しんでいたが、心のどこかで、不安が影をちらつかせた。
お金を貸したことをきっかけに、私は、不安を募らせた。 こんなふうに、私はいつまであきらちゃんと一緒にいることが できるのだろうか。 いつか別れなければいけない。その日は、いつなのだろうか。 そうなったら、私は、どうなってしまうのだろうか。。。。
その日、とうとう私は、あきらちゃんにその不安をぶつけた。
ホテルに入った私たちは、ソファーに座り、くつろいでいた。 だが、私の中では、あきらちゃんに対する不信やら、将来への不安やら、 その他 諸々が渦巻いていた。
どんな話だったかは忘れたが、話の流れで、 あきらちゃんがこんなことを言った。
「もしも、海で、自分の両親と りかが、溺れていて、どちらか一人しか 助けられないとしたら、俺は、りかを助けるよ。」 諸々が渦巻いていた私は、その両親という言葉に、敏感に反応した。
「私が、あきちゃちゃんと過ごすためには、こうやって、ホテルに泊まるか、 旅行に行くしかない。 その日が終わったら、別々の家に帰って別々の生活が待ってる。 かといって、家へ招待することもできない。 お互いの両親には、絶対に合えないんだよね。 今は、まだこれでもいいけど、もっと年をとったら、どうなるんだろ。 私って、あきらちゃんの何?何なの?これから、どうなるの? いつもいつも私は、こんな不安を抱えて あきらちゃんと会い続けないといけないの? あきらちゃんには、私と別れても、奥さんも子供もいて、 帰る場所があるけど、 私は、一人ぼっちになっちゃうの? 年をとればとるほど不安になるよ。」
自分の発する言葉に、自分の中の言い知れない不安も増幅して、 どうしようもない感情で、泣き崩れた。
その夜、私たちは、身体を重ね合わなかった。
私が、一晩中泣いていたからである。 その間、あきらちゃんは、ずっと黙って、私の肩を抱いていた。
そして、最後に、 「わかったよ。わかったから。。。。」 そうつぶやいた。
その、「わかった」と言う、言葉の意味を理解することになるのは、 もう少し先の話である。
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