2003年10月01日(水) |
第42章 重圧への恐怖(続き) |
「やっぱり、だめだよ。離婚しないでほしい。 あきらちゃんと一緒に過ごせる事は、うれしいと思うけど、 その先、あきらちゃんの家族のことをかんがえたら、私には、無理。」
あきらちゃんは、答えた。 「この離婚には、りかは、関係ないよ。俺自身の問題なんだ。 会社を始める時、マンションを売ってから、家では喧嘩も絶えない。 そんな毎日に耐えられなくなったんだ。 家に帰って、一緒に暮らしていても、その意味がなくなったっていうか。。。。。。それは、俺自身のことだから、 それ以上は、説明できないけど。とにかく、よく考えて出した結果だよ。」
「変、そんなのおかしいよ。離婚しないでほしい。 子供もまだ小学生なのに。。。 とにかく、今は、離婚したらだめ。 私がこんなこと言うのも筋違いだけど。 あきらちゃんと会うのやめる。 それで、離婚しないで、家族で暮らしてほしい。 おかしいよ、そんなの。」
不倫に走る女は、男が離婚すると離れていくという人がいる。
それは、結婚している男だからこそ魅力を感じているのだとか、 手に入りにくいものを手に入れることに楽しさを感じているなどと 世間では言われる。
実際は、そのどちらでもないのではないだろうか。
もちろん彼が自分だけの彼になってくれれば、嬉しいにきまっている。 しかし、残された家族の気持ち、 それを踏み台に自分が幸せになることへの罪悪感 それらをこれから先、抱えて生活していかなければならない、重圧感 そんなものが、ただただ、怖いだけなのだと思う。
彼の事が、大切で、どうしようもない「好き」という気持ちで、 会い続けてしまう。その気持ちに嘘偽りはない。
「りかが、俺と会ってくれなくなっても、俺は、離婚すると思うよ。」 彼は、そう言った。
それから、彼は、彼の離婚に至るまでの心情、 家族に対してのこれからの、彼の考えなどを切々と語った。
とうとう私は、彼の話に納得せざるを得ない状況になってしまった。
それは、やっぱり彼の事を好きだというどうしようもない気持ちが 強く、断わりきる勇気を取り去ってしまったのだった。
結局、一緒に暮らすことを受け入れた。
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