2003年10月05日(日) |
第44章 新たに生まれた疑念(part3) |
その年の彼の誕生日。疑念がもう一つ増えた。
貧しくても、なんとかやりくりして、ささやかながら、 プレゼントと、いつもより豪華な食事、ケーキを用意して、 帰ってきたあきらちゃんを出迎えた。
これで、少しでも日頃の精神的な疲れが癒されればいい。。。。
その準備に驚いたあきらちゃんは、いつもよりご機嫌で、 私たちは、その日、楽しく幸せに過ごした。
ところが、ケーキも食べ終わり、 ゆっくり会話を楽しんでいた私の目に 奇妙なものが飛び込んだ。
彼が、タバコに火をつけた。
彼の手に握られたライターが、テーブルの上に置かれる。
何気なく、そのライターに目を移した。
そこには、私が行った事のないラブホテルの名前が書いてあった。。。。
(私と再会するまでに誰かと行ったのかもしれない。でも? それとも私と行ったけど、私が忘れてるだけなのかな。そう?)
仕事をもっと活き活き頑張りたいのに、その機会がない。 毎日毎日、お金の事を心配して生活しなくてはいけない。
そして、たった今、また一つの疑念をあきらちゃんに感じている。
もう、私は限界だった。 なんとか気力だけで、持ちこたえている脆い状態。
さっきまで、楽しく過ごしていたのに、もう、心には、暗雲が立ち込めた。 頬に涙が伝う感触を感じた。
さっきまで、笑っていたのに、突然なみだを流した私に、一瞬彼は驚いた。
しかし、彼の対応は、冷たいものだった。
何、泣いてるんだ!と、あざ笑うように「フッ」と鼻で笑って、 プイッと、横を向いてしまった。
以前なら、「どうしたの?」そう言って、 やさしく問いかけてくれただろう。
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