2003年10月10日(金) |
第47章 冷たい別れ |
はじめてお酒の席で働く事になり、まだ、お客さんの入っていないお店で、 私は、緊張しながら、細かな準備の仕方を教えてもらった。
はじめてのお客さんは、そこの店の古くからの常連さんであった。
坂東さんという、気さくなおじさん?である。 みんなからは、「バンさん」と呼ばれていて、親しみをもたれている。 見た目どおり、やさしくて、おもしろおかしくはじめてそこで働く私の緊張を うまく、解きほぐしてくれた。
スナックとは言っても、少し高級感のあるスナックで、来るお客さんは、 みんな、大企業のお偉方や、会社の経営者。 どちらかといえば、高収入の人たちばかり。
そんな人たちが、仕事から帰って、ちょっと近くで飲みたいなとか、 会社の人たちと、飲んで帰ってきて、まだ飲み足りないから、近くで もうちょっと、飲もうか。。。とか思って、やってくる店だった。
はじめてそう言うところで、働くには、比較的、働きやすいところであった。
夜の7時から、閉店まで、そこで働いて、朝から、会社へ行く。 そんな生活を始めて、一週間ほどたった頃だった。
会社では、なにくわぬ顔をしていたが、あきらちゃんと私の会話はなかった。 勿論、あのお店で働くようになったことは、あきらちゃんには、言わなかった。
ある日、仕事が終わってから、あきらちゃんが、 「今日、話する時間あるか?」と言った。 「わかった。」
その日、お店の仕事が休みだった私は、うなずいて、 あきらちゃんから言われた場所で、待っていた。
その会社の近くの、カジュアルバーに入って、話をした。
あきらちゃんが、口を開いた。
「もう、一緒には、いれない。このまま一緒にいても、 今のままでは、俺は仕事ができないよ。俺には、お前の事を幸せにする自信がない。」
はじめは、遠慮がちにそんな言葉ではじまったのだが、言葉が進むにつれ、 いつしか、その言葉は、残酷に私をののしるような言葉に変わっていった。
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