ハッピーステップ
泥沼生活から、這い上がった軌跡(日記のはじめのほう)を書いた後
最近では、日常の感じた事をつらつらと、不定期に更新中ですm(_ _ )m

2003年10月17日(金) 第49章 信頼できるお客さん(part3)

ごく、信用できるお客さんの内の一人が、
私が、このお店で働くようになって、
初めて来られたお客さんであったバンさんだった。

わたしは、しばしば、このバンさんと、お店が終わってから、食事に行った。
勿論、ママの公認の元で。。。。


バンさんは、決して、私に変な色気を出すこともなかった。

お店では、面白い冗談ばかり言っている、饒舌な人であったが、
根は、真面目で実直で、正直で こんな言い方は失礼なのかもわからないが
とてもかわいい人であった。

食事の後は、必ず、夜道が危ないと言って、
家の近くまで送ってくれるのだが、
私に気を使って、私の家がわからないように、近くの安全な場所までしか、
一緒には来ない。
私もバンさんに対しては、かなりの信用があった。



ある日、お店のお客さんは、バンさん一人であった。
ママと私とバンさんで、話をしていたところ、
ママが、「今日は、お店も暇みたいだし、
バンさん、どこかに飲みに連れて行ってよ。」と、冗談めかして言った。

「お店終わるんだったら、いいよ。行こうか」バンさんは、言った。

「じゃあ、私、お店片付けておくから、りかちゃん、先にバンさんと
行っててくれる?」ママが私に促した。




私は、後で来るであろうママを待ちながら、バンさんと二人、
別のお店で飲んでいた。

待てども暮らせども、ママは、なかなか来なかった。

ママに電話をすると、「りかちゃんごめん、片付けてる間に、他のお客さんが
来ちゃったのよ。今日は、そのまま帰っていいから、バンさんと二人で飲んでて。」
そう言った。

しばらくは、話をしたり、カラオケをしたりして、
バンさんと楽しんでいたが、
「ママが、来れないのなら、すぐに帰ろうか。
りかちゃんも早くかえりたいだろう。」
そう言って、バンさんが、気を利かせてくれた。

しかし、そのお店の人が、「もういっぱいづつくらい、飲んで帰ってよ。」
そう言って、私たちを引き止めた。

「じゃあ、もういっぱいだけ・・」そう言って、私たちは、会話を続けた。



バンさんは、ポツリポツリと話を始めた。
バンさんは、バツいちだった。
離婚後、私と同じ名前の「りか」という女性との
楽しかった思い出を話してくれた。

お互いに、まだ、気持ちは残っていたのだが、歳がすごく離れていたので、
相手の親の反対にあい、誠実なバンさんは、自分がいては、この子は、
幸せになれないだろうと、自分のほうから、別れを切り出したらしい。

それから、何年もの月日がたって、その人への想いは、次第に
いい思い出へと変化したが、今は、一人で歳をとっていく事が、とても、
寂しいと思っているそうだ。

そして、私に、少し照れながら、こう言った。

「付き合ってほしいとは、言わない。けど、時々、ご飯を食べたり、一緒に
時を過ごす仲間になってもらえたらいいなぁと、思っていたんだけど、
無理だろうね。。。」

バンさんは、とても人間的にいい人である。
しかし、私にとっては、
とても信頼できる、お店のお客さんとしか、考えられなかった。

自信のなさげな、やさしい瞳で、下を向いて、
一点を見つめているバンさんに、
ハッキリと、断わる勇気がなかった。

「私なんかより、バンさんなら、もっといい人が沢山いますよ。」
それが私の答だった。



その日も、バンさんは、いつものように私を 家がわからない場所まで、
送ってくれた。





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