ハッピーステップ
泥沼生活から、這い上がった軌跡(日記のはじめのほう)を書いた後
最近では、日常の感じた事をつらつらと、不定期に更新中ですm(_ _ )m

2003年10月18日(土) 第50章 転機

そのことが、あってからも、バンさんは変わらずお店にやってきて、
いつものように、変わらず、冗談を言って、みんなを笑わせていた。

今までどおり、頻繁に顔を出した。
勿論、私に対しても、執拗に誘ってくる事もなかった。
私も、バンさんに対して、今までと変わらず接した。

それでも、ママや、他の女の子たちもわかるほど、
それからも私を大切に扱ってくれた。

ママは、私にその気がないのをわかっていたし、それ以上のことはないとも
わかっていて、「バンさんは、りかちゃんの大ファンだからね〜」と言って、
よく、バンさんを冗談交じりにからかった。



あきらちゃんは、毎月、数万円づつは、返済のお金を振り込んでくれていた。
私は、それを確認する事もなかったし、当てにすることもなかった。

ただ、早くあきらちゃんが、立ち直ってほしいと、心から祈っていたし、
私自身も、普通の生活を早く送れるようになれるように、
毎日、必死で生活した。


相変わらず、お店が終わって、一人家に帰ると、気分は沈んでいたし、
お店にいるときにも、心の中は、虚無感でいっぱいだった。

しかしそれは、以前のようなあきらちゃんへの未練からくるものとは、
また別のものだった。

あきらちゃんへの想いは、確かにまだあったし、
新しい恋も、もうしたくはなかった。

けれど、そんなことより、やはり、お腹の子供をなくしたこと、
一人、この心細い生活を続けなければいけないこと。
そんなことへの悲しさや不安の方が、大きく心を占めていた。

私は、もしかしたら、一生、この悲しみや不安、
心細さを抱えて生きていかなければならないのだろうか?
そんな風にも感じていた。

その泥沼のような思いや、生活から、なかなか抜け出す事ができないでいた。




私の転機は、そんな、泥沼の生活の中で、ある日突然やってきた。




ソノ日、私は、いつもの様に、お店のカウンターに立っていた。

お店のドアが開き、一人のお客さんが入ってきて、カウンター席に座る。

はじめてみる人であった。

「いらっしゃいませ」そう言って、顔を上げた。

「あっ!」私は、心の中で『何か』を感じた。

知っている人に似ていたわけでも、好みのタイプであったわけでもない。

その『何か』の正体が、なんなのかは、わからなかった。



とにかく、『何か』を感じたのだ。






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