2003年10月26日(日) |
第53章 迷いの中の至福 |
津川さんと一緒にいると、私は、大きな安心感を得られる。
しかし、それが、恋かどうかは、まだわからなかった。 あきらちゃんの事が、心からなくなってしまったわけではない。
心の中ではいつも、その複雑な気持ちが、私を迷わせた。
それからは、お店がお休みの時は、毎日のように、津川さんと会った。
あえない日でも、津川さんは、毎日のように、私の家のドアに、 お寿司や、ビールなどを置いておいてくれていた。
「りかとは、まだまだ行きたいところがたくさんあるよ。」 「りかみたいな人には、出会うのは、1000人に一人の割合だ。」 津川さんは、私との出会いを大切に思っていることをいつも私に言った。 私も、津川さんに会うと、大きなやさしさに包まれて、 幸せな気持ちになれた。
「ずっと、ずっと、やさしくするよ。」津川さんは言った。
私は、津川さんへの自分の気持ちがわからないまま、 その、大きな安心感を得る為に、津川さんにいつも会った。
津川さんは、私に、ほしいものは何でも買い与えてくれた。
私が、会話の中で、あんなのがあったらいいな〜等と言うと、 それを覚えていて、次に会ったときには、必ず、その現物を私に手渡す。
私が、買ってこなくてもいい、そんな意味で言ってるんじゃないと言っても、 「夜に飲んでいた頃の代金の事を思えば、安いもんだよ。 今は、りかのためにお金を使えるのだから。 りかに喜んでもらえるのなら、そのほうがいいんだ。」 そう言って、プレゼントを買い続けた。
私が、早くお昼に働けるように、毎月、何万ものお金を私に手渡した。 私が、いらないというと、知らない間に、私の鞄にそのお金をこっそり 入れてくれていたりした。
そして、何か、私に困った事があれば、すぐに飛んできて 簡単に解決してくれる。。。
そのおかげで、私は、みるみる生活が楽になり、本来の仕事に戻るために 夜の仕事を辞めて、職探しを始めた。
そうやって、津川さんと出会ってからというもの、 私は、経済的にも、精神的にも、落ち着いた生活を送る事が できるようになっていた。
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