けろよんの日記
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2005年09月28日(水) 徒然草 百五十段

能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。
うちうちよく習ひ得てさし出でたらんこそ、いと心にくからめ。」
と常に言ふめれど、かく言う人、一芸も習ひ得ることなし。
いまだ堅固かたほなるより、上手の中にまじりて毀り笑はるるにも恥ぢず、
つれなく過ぎて嗜む人、天性その骨なけれども、道になづまず、
みだりにせずして年を送れば堪能の嗜まざるよりは、終に上手の位にいたり、
徳たけ人に許されて双なき名を得ることなり。天下のものの上手といへども、
始めは不堪の聞えもあり無下の瑕瑾もありき。されどもその人道の掟正しく、
これを重くして放埓せざれば世の博士にて万人の師となる事、諸道かはるべからず。


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