朝、ホテルのバイキングで朝食を摂る。
いり卵、ソーセージ、温野菜、果物、クロワッサンとカスタードパイ。
それから紅茶。
紅茶がおいしくて、おかわりまでもらってしまった。
バイキングだとついあれもこれもと欲しくなってしまう。
普段飲まないオレンジジュースとか、そんなものまで
コップに注いでこようかな・・・と考えてしまう。
これでも昔よりは分別がつく歳になったせいか、
どうせ残してしまうと思われるものは我慢してとらなくなった。
それでも変わったチーズやハムがあれば、
好奇心からお皿に盛ってしまうのだけど。。
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9時半にはチェックアウトをして、いざ祖父母の家へ。
夫の祖父母は京王線でごとごとと行ったところにある。
しばらく東京の電車に揺られながら、
見知らぬ街なのに、ここのどこかにネットでだけ見知っている
会ったことのないあの人やこの人が住んでいると思うと不思議だ、と、思っていた。
電車からの眺めは少しも魅力的ではなかったけど、
東京という街そのものが物語の中の街という気がして、
それだけでなんだか、ぼおっとなった。
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祖父母の家にて、嫁です、と自己紹介し、
テレビを見てお菓子を食べて、家を出た。
「うちのじいさんは内臓が丈夫で、今までおなかを壊したことがない。」
という台詞が印象的だった。
彼はしょっちゅう、おなか痛い…と嘆いているのに。
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いざ、ロマンスカーで箱根湯本へ。
ロマンスカー!!
『ホリー・ガーデン』持ってくればよかったなぁと、心から悔やんだ。
途中で眠ってしまい、気が付いたら山の中だった。
寒い。
ついて早速、お義父さんとお義母さんは温泉に入っていた。
私はぼーっとテレビを見る。
食後(しこたま日本酒を飲んだ義父と夫。でもケロっとしてる。)
温泉に入る。
ひとりで入る温泉は気楽だ。
外は小雨模様で、露天風呂に濡れながら浸かる。
途中、同じように一人でぼけーっと入っている嫁仲間っぽい婦人を見つけ、
タヒチで出会った、親と一緒に新婚旅行をしていた夫婦のことを思い出す。
その時のお嫁さんと、ちょっと横顔が似ていた。
タヒチからもどって2週間後くらいに、
きれいな、女の人の字で、でも差出人は男の人の名前で、
タヒチでの写真が届いた。
あの人はこんなきれいな字を書く人だったのか、と驚き、
なんだか益々印象に残ったのだった。
そのことをまた、ぼんやりと思い出していた。
箱根の温泉は無色透明で、ありがたーい感じはなかったけど、
それはそれでなんというか、
主目的は祖父母の家を訪ねることだったわけだから、
おまけ的に来た箱根の、おまけらしさを感じた。
初めて訪れた箱根。
周りを山に囲まれた窪地で、ホテルの部屋の中で寝そべって窓の外を眺めると、
ちょうどきれいに山の稜線だけが窓枠の中に納まって、
目にやさしい、いい景色になっていた。
「昨日の台風はどうでしたか?大変だったんじゃないですか?」
という決まり文句に、温泉街の人々は口をそろえて
「ここは、山に囲まれてるでしょ、
だから風はぜんぜん吹かなかったんですよ。雨はひどかったですけどね。」
と、答えていた。
次に箱根を訪れるのはいつだろうか?