遠くにみえるあの花火に
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2005年08月10日(水) 空をみあげて、よしもとばななさん「ハゴロモ」再読中


最近、空を見上げなくなったなぁと思う。
去年の今ごろは窓の外の空ばかり見上げていたのに。
そんな風にふと思ったので、ビルのすきまから空を眺めてみたら、
夕立の降り始める少し前の、むうっとおしだされた灰色の雲が
空にわきおこっていた。

空を見上げる余裕を失わないようにしようと思う。

今年も夏は暑くて、
街の中はエアコンの室外機からもれる熱気と、
車のエンジンが発する熱と、
人と、
そういうもろもろで、とても暑くて、
自分の皮膚の上に体温より高いんじゃないかっていうような
不快な、あたたかい空気がのっかってくる感じとか、
今年も夏は、やっぱり暑い。







よしもとばななさんの「ハゴロモ」を再読しています。
思いがけず、
ぐっとこみあげるものがあったりもして。

主人公の女の子が両親たちのことをこんな風に語るところがあって、

 (両親は)仲がいいというよりも相性がよく、
 自分の幸せのことばかり考えているクールな人同士だったので
 ものごとを深く掘り下げて考えずにすんだから、
 いつも楽しそうに出かけていったのだと


これ、私と私の夫との関係も、まさしくこういうものかもしれない。とふと思う。
口ぐせのように「仲良しだね」と言い合っているけれど、
そしてそれは口に出されるたびに、二人を本当に仲良くさせるのだけれど、
けれどもそういうこととはまた別に、
私たちは本当は仲がいいというより、相性がおそろしくいいのだと思う。
そしてお互いすごくマイペースだから、
自分自身の幸福のことをたぶんきっと無意識に、一番に考えている。

そんな私たちは基本的に、難しいことは考えない。それが共通点。


・・・・そんな思いがふと頭をよぎる。


「ハゴロモ」。とても久しぶりに手に取った。
話の内容をすっかりきれいさっぱり忘れていて、新しい気持ちで読む。

思いがけずぐっとくるところがあったのは、
たぶんさらりと読み流していた部分をじっくり読んでしまったからで、
お話の始まりの部分、
主人公の八年もの長い愛人生活が終わりを迎えたことの説明に、
ひどく動揺してしまった。

いつものくせで、
つい今の夫との生活が破綻してしまった時のことを考えてしまう。
当たり前にあると思っている日々が、唐突になくなってしまった時
いったいどうやって対処していったらいいんだろうと思う。

「ハゴロモ」の主人公はどうやって乗り越えていくんだろう。
時間以外のものに癒されるのが嫌だ、という彼女。
たぶん、よしもとばななさんらしいやり方で、
驚くぐらい粘り強くかっこよく消化していくんだろうな。




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