遠くにみえるあの花火に
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2005年08月26日(金) 栗田有起さん『オテル・モル』読了。


「オテル・モル」読了。
電車の中で読んでいて、泣きそうになる。


栗田有起さんのことはのろのろさんのページで知って、
いつか読もうと思っていた。
PICNICAさんもすごくはまっているみたいだし、読もう読もうと思っていた。

そうしたら、不思議な縁で、
麦ふみクーツェの解説を栗田有起さんが書いていた。
それを読んで、すぐさまオテル・モルを購入した。

なんだかすごく適確に麦ふみクーツェのことや、
いしいしんじさんのことを書いていて、
そしてその言葉がやわらかくて、この人の小説はおもしろいに違いないと思えた。

でも、その解説から受けた印象とはまた違う印象のお話だった。
もっと女性的(内に秘めた激しさをもっていて)で、
そしてもっとユーモラス(淡々としたおかしさがある)だった。

麦ふみクーツェの解説の中で栗田さんは
「読書とは、文字による合奏に参加すること」だと言っていた。
もちろん、合奏という表現は麦ふみクーツェからきているのだけど、
いわば栗田さんの小説も、合奏そのものだ。
読みながら、私は主人公の気持ちと呼応して
一緒に泣いたり踊ったり眠ったりさせてもらった。
合奏している楽しさと、それは似ていると思う。

不思議なホテル(オテル)、不思議な人たち、哀しい出来事、哀しい事実。

ユーモアを含んだおかしみと、悲痛なぐらいの哀しい出来事とが、
こんな風な形でふたつ絡まりあっている話をはじめて読んだ気がする。




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