2005年06月02日(木) |
私のいま&病院の夜 6 |
私の家族は私のこの日記を知りません。オットは知ってるけどね。 妹が知ったら なぜここまで細かく書くの?お母さんのプライバシーは?って怒るかもしれない。 でも 私は今回のことで 使う薬や病状・進行度合いなど色々ネットで調べたときに「その薬はなんなのか」だけでなく「その薬を使って自分はこうだった」「家族はこうなった」という経験談を知ることができた。 それはすごく参考になったし 母親がこれほどに病気で苦しむのはうちだけじゃないんだと ちゃんと認識することができた。 だから 病状や 母が言ったこと 私が思ったこと をこまごまと書いている。
私の日記であり、同じように苦しむ人に「こういうケースもありますから」と知ってもらいたくて書いているもの。です。 ちっとも参考にはならないだろうけど。
また、私の書き方だと 私がすごく参っちゃってるように思えるらしく 友人たちが心配してメールをくれますが すいません 多分 皆が拍子抜けするくらい私自身は普通です。 会社で席についた瞬間から【いつもどおりの私】に なろうと意識しなくても なってるし。 会議の内容にぶつくさ言ったり データの取得方法が難しい と駄々をこねてそれを考えた人に「これあげるから頑張れ」とチョコレートをもらったり。 どんなときも携帯を持ち歩き 誰かと話している最中でも電話がくれば必ず出る ということ以外何も変わってない。
そして 病室に近づくに連れて 少しずつ 胃が痛くなるのです。 ------------- 20:50 痛々しかった。 両手の拘束はタオルケットで見えないものの右の鼻からの管は胃まで入っており、胆汁や胃液 唾液を常に排出しつづける。 この管は鼻の穴のところを右ほほでテープで固定してあるので顔が引っ張られる感じが絶えずある様子。 管を入れるとき妹は立ち会ったそうだが 母は嫌がって嫌がって、管を入れながら二回吐いたそうだ。 その前に一回だから三回か。
左の鼻の管は気管までで、痰の除去のためだ。 この左のほうは小さい漏斗が差し入れてあり、そこから痰除去用の細い管を出し入れするのだ。 これのため、喉の奥のほうの音がよく聞こえる。
母にしてみれば鏡を見ていないので自分の顔に何をされたか解からないし 両手は少ししか動かせない。 手が動かないということは寝返りを打つことすらできないということで、今はナースが数時間に一度クッションの位置をずらしてくれるのに頼るのみだ。
行ったときは熱が出ていて少し寝ていたのだが 目が覚めた後は苦痛をこらえるように顔をゆがめつづけていた。 また その漏斗のせいで自分の鼻の奥や気管で唾液や痰が絡む音が大きく聞こえる。 母には頭の中でその音が響いているだろう。
鎮痛剤を一切使っていないのでどれほど痛がるかと怖かったが、声を出さない。 たまに小さく唸るが 後は歯を食いしばったり目をぎゅうっと閉じたり 下あごを突き出して辛そうな目をしたり。 じゃあ日曜にモルヒネを増やしてからこっちのまる3日間続いた奇声とあの形相は一体なんだったの?
この絶え間なく吐き出される体液が苦しかったということ? そして、痛みを取り除くためのモルヒネが多くて母をおかしくしていた?
一度使った鎮痛剤を使わない というのはかなり思い切った決断なのだが このままでは呼吸抑制と血圧低下が続いてショック死してしまうので 父が担当医と相談して決めた。
とても不自由で苦しそうだが 突発的に吐いたりすることがないだけでも 負担は少ないと思う。
22:40〜3:00 叔父がくる。しばらく母の様子について話した後「あの奇声がないだけマシやかね(=マシじゃないか)。」と言った。 私はちょっと気分を害した。 確かに聞いているこちらもおかしくなりそうな叫び声だったけれど なにかを訴えたくてあげていた声かもしれないし今となってはモルヒネが多すぎたせいかもしれないのだ。 母の言葉にならない何か を聞いてきて辛いからなくなってよかった で切り捨てないで欲しい。 そして、前夜は殆ど徹夜だった叔父はソファに座って10分しないうちに完全に寝た。でっかいいびきつき。
今日はさ 新しい対処をした初日の夜でしょ? お母さんも管が苦しくて全然寝付けず ずっと首を動かしたり 辛そうにしたりしてるの。 その横で来るなり大いびきで爆睡するって すごく可哀相なことじゃないかな。お母さんは意識が戻ってるから多分苛ついてるはず。 今日だけで3度吐いて3回着替えて 管まで入れられて 手も拘束されて 体力も落ちててすごくきつい状態なのに眠りたくてもなかなか眠れないのに、せめてお母さんが寝付くまで見届けてあげなかったら あまりにかわいそうだ。
大体呼吸がおかしくなったりしたときにすぐ気がついてあげるために病室に泊まってるのに呼吸どころか 痰の絡む音が大きく聞こえる状態であっても叔父のいびきで聞こえないよ。
もうホテル代あげるからその辺に泊まってくれ!って何度も起こしたい衝動に駆られた。 私だって昨日先に寝たけどさ それでも1時半過ぎるまでお母さんの様子をうかがってたよ。 叔父がソファを占領したら私は横になることもできやしない。
と、大変情けない思いで母のそばのいすに座っていた。
見回りのナースが「すこし娘さんも休んでね。今日はナースが多いから、なんだったら話し相手にもなれるわよ。」と言ってくれたがこんな熟睡してる人間を残して病室を空けられるんなら 泊まらないよ。
3:00過ぎ 血圧は上は90を切り、下は50台。下がってきてしまった。 母はようやく苦しげながらも寝息を立て始めた。 全然眠らなければ今晩困るな と思い 背もたれのあるパイプ椅子に座って 足を同じ高さの椅子に乗っけて 目を閉じた。
4:00 叔父が起きる気配で目が覚めた。 「ソファ占領しちゃってごめんね」 とか言うのかと思ったけど 何も言わなかったので もういいや と思った。 叔父が出るまでまだ少し時間があったが ただ病室にいるだけで何かした気になってる叔父にアレコレ言っても無駄だと思い私はさっさとソファで横になって寝た。
去年 既に体調が悪くなりつつあった母にストレスを与えた叔父。 母は免疫治療中に解かったことだがNK細胞がすごく多かった。多分孫を育てている充実感もあったのだろう。
>>NK細胞(ナチュラルキラーさいぼう 免疫細胞の一つ) ストレス状況下で、免疫能の低下し、感染に対する抵抗性や、免疫能が低下する。 事例は以下のとおり。 1.NK細胞(natural killer cell)は、ガン細胞、ウイルス、細菌をやっつける。 NK細胞活性を医学生10人について、卒業式験の最中と試験終了2週間後に測った。 試験中のNK細胞活性は全体に低値であった。 ストレスによって、NK細胞活性は容易に変動することが明らかになった。 2.ストレス状況下、リンパ球数およびリンパ球幼若化能を経時的に調べたところ後者は低下。 3.うつ病スコアとNK細胞活性との関連:うつ症状の強いほどNK細胞活性の低下が著明。 4.試験中はEBV−VCA(Epstein−Barr virus viral capsid antigen)抗体価の上昇 γ一IFN(γ−interferon)の産生低下 上気道を中心とした症状の発生頻度が増す
(出典)PTM Vol.9, 13(1) FEB., 1998 聖マリアンナ医科大学 星 恵子 (文献)1)星 恵子:ストレスと免疫,講談社,東京,1993,55−57.、6)星 恵子:ストレスと免疫.炎症と免疫 3:81−87,1995. ストレスが強いとアレルギーの原因となる(朝日新聞1998.4.23)
微妙なバランスで日常生活を保っていた状態に石を投げ込んだのは叔父のした とある事だ。 私も父も妹も それを忘れても許してもいない。 母は、許すといった。だから今こうして病室に詰めるのは叔父なりの罪滅ぼしなのだろう。母のそばにいたいのだろう。 気持ちは解かるけれど。 だけど「土日もずっと朝から晩まで病室にいて、今は毎晩病室に泊まるまでしていて もしも死に目にあえなかったら嫌だ」という理由ってどうなんだろう。 それをいうなら父も妹も会えないことになるんですけど。
二人は会えなくてもいいと思っているとでも?
家族の待機者が入れ替わる不在の時間をついて母が逝ってしまったら それはもう諦めるしかないと思っている。 ただ、皆それぞれに「逝くなら自分のいるときに」って思っているだろう。 それを単に死に目に立ち会いたいだけでいるんだったら 夜は帰っていいから。ほんとに。 そのうち私と交代で泊まるとか言ってるけど 日中いられない分夜はいたいんだよ。 なんで散々お母さんに苦労かけた叔父さんに私の時間を譲らないといけないのか解かりません。
察して欲しい。
5:00 起床。 母ももう目が開いている。そしてあのグロロロロという絡む音をさせて辛そうにしている。 唇の内側と舌を湿らせる。嫌そうだが 我慢してもらった。
chick me
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