ふつうのおんな

2005年06月03日(金) 午前4時3分

昇圧剤をはずして1時間足らずで母は眠りにつきました。
私と叔父がうとうとしていた間にそっと呼吸は止まり 気がついたらナースが心臓マッサージをしていました。

こういうのも死に目に会えなかったというのかな

けど妹が言いました。
「明日からまた大変やけん ねとかんね。お母さんいくけん。」
ってとこじゃない?と。

そうかもしれませんし「何で寝とっとね あんたたちは。」と呆れて逝ったかもしれません。

どちらにせよ 母は58歳と6日でこの世を去りました。

妹と父を呼び葬儀屋と一緒に家につれて帰り 顔を拭いて丹念に化粧をしました。
派手にならないよう 丁寧に。
爪も切らせてくれなかったおかげで少し伸びて マニキュアが似合う形になっていたので塗りました。

妹にヘアセットを頼んでトイレに行って戻ると 妹が号泣していました。
化粧をした顔は昔の母の顔で少し閉じ切れなかった口元も笑顔に見えるのです。
「おねえちゃん お母さんの顔をきれいに戻してくれてありがとう ありがとう」
と突っ伏してないていました。

その後親戚や母の友人が飛んできてくれ、そのたびに闘病生活を語りました。

寝るところもなさそうだし明日からは実家に詰めるので一度家に戻ることにして今これを書いています。
1週間ぶりくらいのベッド。

家を出る前に父に正座で頭を下げて「お疲れ様でした」といいました。

昇圧剤をはずすことは父にとっても勇気のいることだったでしょうが「お母さんはプライドの高い人だからこれ以上の苦しむ姿はかわいそう過ぎる」と言ったそうです。
母を守るために父は苦しい選択をしてくれました。

母がいなくなった実感はまだありません。

でも母の笑顔のような眠る顔のおかげでここ数週間の般若のような母の顔は少しずつ頭から消えていき、よいことばかりが思い出されます。

「お父さん今日眠れる?」
「一杯飲んで寝るよ おまえもそうしなさい」

そうだね

お母さん
お疲れ様
一緒にビールを飲もう

chick me
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etsu

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