書泉シランデの日記

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中国国宝展
2004年10月11日(月)

中国国宝展、中国人で仏教学の専門家の張さんと一緒。ものすごい混み方。ただし、いつものことながら、最初の一角を過ぎるとなぜか相対的にすいてはくる。

考古学的な出土品はどれも非常に状態がよろしい。・・・た〜〜くさん出ている中から状態のいいのが国宝になるのだろう。

一番の目玉は金鏤玉衣とやらで、小さな玉片を金の針金でつづり合わせて人型にした、ゴーレムのようなもの。大層なものではあるが、内心それがどうした、である。

もっと工芸品的な国宝があるのかと思っていたが、考古学的な出土品を除くと、ほとんど仏教美術である。チラシをよく見れば、確かにそう書いてあるが、よく見ないでいった私には意外だった。が、もともと仏教美術は好きな上、同行者が仏教研究者ので、なかなか面白かった。

仏像の顔つきがかなりいろいろ。大体、日本の仏像より笑顔が大きい。にっこり笑っている。考えているものは、結構険しい顔して考えているし、遠慮のない表現。張さんの解説では、しばしば「あ、これは少数民族の国家です。漢民族の国家ではありません」という文言が入り、そうか、中国は多民族国家なんだ、と再認識させられる。確かにそれぞれの仏像が作られた場所によっても、顔つき体つきが違ってみえる。雲南の仏像はやっぱり南方っぽい。

半跏の菩薩像もあり、中宮寺や広隆寺のものを思い出す。秋篠寺の伎芸天みたいなフォルムのもある。要するに日本仏像はコピーなんだろうな。そういえば、鳥毛立女のような絵も出ていた。

顔に痛みのあるものが案外多い。あるいは文化大革命の頃にやられたのかなと思う。目とか鼻とか・・・腕を欠くものも目立つ。

張さんは「共産党への信仰がなくなった現在の中国は信仰空白状態だが、根本は仏教国である」という。彼の故郷(河北省)のお寺(特に名刹でもない普通のお寺)は夏に座禅大会をやるそうで、学生が300人くらい集まるとのこと。仏像に対する畏敬の念も普通に見られるそうで、これから再び仏教信仰に回帰するのではないか、とのことであった。「それじゃ、あなたの仕事も繁盛していいわね」と茶々を入れてしまったけど、私は近代の中国と仏教信仰をあまり結びつけて考えたことはなかったので、少し興味がわいた。機会があったら、中国へ寺院と仏教美術を見に行きたいものだ。




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