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『フィガロの結婚』ウィーン国立歌劇場日本公演
そもそものお目当てはキーンリサイドの伯爵、キルヒシュラガーのケルビーノ、ハヴラタのフィガロだったのですが、ハヴラタは病気でフィガロ役はバンクルなる御仁。
くだんの2名は期待通り。そして、この間『ドン・ジョヴァンニ』を見てからマークしたムラーロ(本日はバルトロ)は、やっぱり芝居上手であることを確信した出来。(来春、新国立劇場でこの人、フィガロ役です。必見!)スザンナ役のライモンディ、お顔はかわいいのに、歌はイマイチ。転じて、伯爵夫人のイソコスキは歌はいいのに、お顔がノーブルじゃないので残念。気にもしていなかったマルチェリーナ役のグレゴリアン、とってもよかった。小柄なのに声量があり、声がきれい。
バンクルはかなり立派なおなかで、詰め物なしでも、ファルスタッフが歌えそう。バスバリトンの美声、声量たっぷりながら、惜しむらくはいささか一本調子で、フィガロならではの軽やかさを欠く。今シーズンのウィーンでは『パルジファル』のクリングゾルを歌うそうだが、そっちのほうがうんと期待できるのではないかしらん・・・。声量はありすぎるほどで、スザンナと掛け合うところでは、スザンナの声が相対的に小さい印象となり、聞いていてちょっと疲れた。
疲れる、といえば、会場のNHKホールは大きすぎて、舞台の歌手の表情がほとんどわからない。かつてそういう理由で大劇場を避けた歌手がいたそうだが、全く同意できる。特にフィガロのような作品は、濃密な心理劇なのだから、表情がわからないと面白さが半減する。表情を見るためにはオペラグラスを使い続けることになり、目が疲れるったらありゃしない。いろんな事情はあるのだろうけれど、『ドン・ジョヴァンニ』同様、文化会館でやってほしかった。(NHKホールでやると、PAを使ったの使ってないのと話題になることがあるが、今日は絶対使ってないことを確信。でも逆を確信している人もいるみたい。)
そうそう、皇太子も見に来ていた。警備がやけにものものしかったから、また小泉でも来るんかなあ、と思っていたら、皇太子だった。おつれあいはまだこういうところへは顔を出されないようで・・・。
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