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明月記@五島美術館
休日だからある程度は混んでいると予想したけれど、予想以上の混み方でした。こういうところがこんなに混むのに、どうして本となると、つまらないものしか売れないのだろう?ここで熱心に見ている人たちは普段何をしているのだろうか?
「明月記」は藤原定家の日記。断簡はいろんなところにあるから、ごくごく部分的にはこれまでも目にしたことはあった。でも、今回は冷泉家所蔵の60巻がいっきに、しかもかなり長めに広げて、展示室中のケースのほとんどが「明月記」。圧巻でした。全部見るなんて絶対飽きそう、と思ったのだが、開いてある部分の記事を要約した説明パネルのおかげで、飽きることなく、退屈することなく、見て回ることができた。全部の量を思うとほんのちょっとの条しか見ていないはずなのに、それでも、とっても「明月記」全体を感じることができた。
定家って今更私が書くまでもなく、おかしな人だと思う。あんまりかっこいい生き方の人だとは思えない。比べれば、後鳥羽院の勝ち。でも、そのかっこ悪さと歌の美しさのアンバランスが魅力のうちかも。結構人間味ある、というか、人並みに世俗的というか。
貴族の日記なんておおむね単純な記録―業務日誌みたいな―だけれど、でも、たま〜に出てくる一言が妙にしみじみしたりして、面白い。年をとって時間をもてあますようになったら、「明月記」の訓注つきの本など買って、ちびちび読むのもいいかもしれない。
帰りがけ、知人に頼まれた図録まで買ったら、出掛けにお財布の中身を補充しなかったせいで、漱石が1枚もなくなった。ぎゃあ、という感じで、銀行を探し、お金をおろしたら、出来立てほやほやの新しい諭吉が派手な装いで出てきた。
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