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「花の好きな牛」 ヴェンゲーロフ again!
ヴェンゲーロフにすっかりはまったおば様のご招待で、オネエサマとともに、またまたヴェンゲーロフを聞きにサントリーへ。今回の出し物はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。実は4年前の来日のとき、新日フィル(現田)×ヴェンゲーロフで聞いて、圧倒された曲である。若さ炸裂の素晴らしい演奏だった・・・というわけで、私はあんまりその記憶を汚したくなかったが、70歳も半ばを過ぎたおば様のお誘いはむげに断れない。
今回、オケは一種のユース・オーケストラ、指揮はデュトワ。あんまり期待できないね〜、なんていいたいことをいって待つうちに開演。案の定、第1楽章はオケのほうが心配になるような出来。せっかくのカデンツァも浮いてしまう。なんだかヴェンちゃんが遠慮しいしい、気を使って演奏しているという印象。第2、第3楽章はまだましだったけれど、オケのバイオリンは弱いし、ホルンをはじめ木管楽器は「電子オルガン」的な音だし(こちらの席も悪かった)、おまけにどうも音量スイッチに大中小しかないような・・・あ〜あ、4年前の息を呑むようなベトコンは再来しなかったな、と思いながら、演奏が終わる。協奏曲はまさに「協」でないと成立しないことがよくわかった。
さて、問題はその後。ヴェンちゃんがアンコールをやってくれた。ユニセフの大使として、ウガンダの難民の子どもたちの施設でひいて大うけだった曲なんだそうだが、絵本でおなじみ「花の好きな牛」 、そう、フェルディナンドのお話のひき語りである。
お話を語りながら、フェルディナンドが花の香りに包まれてのんびり寝ているときのテーマ、同じ牛たちがけんかをしたり、遊んでいたりするテーマ、フェルディナンドのママが心配してモーッと鳴くくだり、マドリッドから闘牛用の牛を探しに来る男たち、蜂に襲われて猛烈に走り回るフェルディナンド、闘牛の開始・・・とまあ、器用なこと、器用なこと。そしてもちろん楽しいことこの上なし!ウガンダの子どもでなくても、拍手喝采。
「これが最後の生ヴェンちゃんかしら、と思っていたけれど、あんな楽しい曲で思い残すことがないわ〜」とおば様も大満足。お供のオネエサマも私も大満足。かわいそうなのはデュトワでござい、ユース・オケでござい、といわなくっちゃ。あのアンコール曲、強烈すぎ。
その後のおしゃべりもはずんで、遅い帰宅となった。私たちは、ヴェンちゃんこれからどう変化して行くのかしらね、一流オケとの協奏曲が聞きたいね、無伴奏ならイザイをやって欲しいな(実は4年前にやったらしい)、などなど、今後もヴェンちゃん公演は何が何でも出かけよう、みたいなことになるのだが、「これが最後」というおば様の言葉がどこか心にひっかかって、申し訳ないけれど、残酷な盛り上がりだったかも・・・もちろんそんなこと先刻お許しだろうけれど。
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