![]() |
![]() |
獣医どのの言葉通り、ちょっと寒いなと思うと、老犬は変調を呈する。フリースの犬コートを着せているのに、冷え込みがあると老犬の体は正直に反応する。人でいうなら喘息のように息のたびにゼロゼロ音がするし、吐くようなそぶりをする。吐こうとしたって、肺にたまった水は吐けないのだよ、ちいちゃん。 仕方なく利尿剤を与える。何度か用足しに庭に出て、かさかさと枯葉を踏んで歩く。月の光に犬と人の影がおちる。葉を落とした木の影も。月の光がわからないようなところには住みたくない。 牀前月光を見る、という漢詩が月の光と連動して思い出される。中学か高校の教科書にあった詩。月光の冷たさは漢詩にふさわしい気がする。たぶん日本語で受け止めるしかない私個人の言語的な限界のせいだろうけれど。 今日は月が明るいから、星を見るにはよくないが、冬空のシリウスは本当に美しい。あほな我家では、死んだらあの星に行くんだよと老犬にいって聞かせている。そこまで立派な犬かいな・・・。 ![]()
|
![]() |
![]() |