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富士山
仕事で富士山麓へ行って来た。全然面白くはないが、天候には恵まれた。
富士山がきれいな山であることは確かである。太宰治だって、「風呂屋のペンキ画」なんていっていたが、最後は富士山だけのスナップ写真をとるのだものね(『富嶽百景』)。
きれいな山だけに、俗物にあれこれ食い物にされてきた。山自体とは何の関係もない概念をいろいろと押し付けられて、素の姿が見難くなった山だ。霊峰富士なんていわれるとぞっとする。大観の富士山の絵なんて、ああもう勘弁してちょうだい、である。それと同時に、さんざん商売に使われてきて、通俗のきわみに至った観光資源だけれど、このごろは環境問題のほうで取り上げられている。豊かな自然の象徴として、気持ちのよい形で新しい富士山のイメージが育つといいなあと思う。
鳴沢から携帯でとった逆光の富士山をアップします。

鳴沢の富士山博物館には、展示の目玉に、富士山噴火で流れ出た溶岩とおぼしき流れに首まで埋もれて、グォーグォーとあがき苦しむティラノサウルスがあります。・・・こういうものがないと客が喜ばない、ということを無条件に信じ込んでいるんじゃないかしら。いくらティラノサウルスでも溶岩にのまれたら、首までつかる前に死んでるわよ。
『富士山の文学』(久保田淳、文春新書)というのが手許にあったので、車中ぱらぱら読みながら出かけた。富士山で日本文学に検索をかけたらこうなるんだろうな、というような本。面白いかと聞かれれば、しばらく読むと飽きると答え、便利か、と聞かれれば、富士山ネタで薀蓄をかたむけたいなら便利だ、と答えよう。
さて、帰宅したら、ネットで注文した巌手屋の南部せんべいが届いた。この店のりんご南部とかぼちゃ南部は一度騙されてみて。予想外のおいしさよ。
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