書泉シランデの日記

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「やまとうた一千年」@五島美術館
2005年11月05日(土)

聞きしにまさる立派な書の数々でした。

そりゃ、五島ですから、大東急ですから、と想定の範囲内ではあるのですが、「古今集高野切」(第一種)巻一巻頭には思わず絶句するほどでした。(混んでいたので、「後撰集」から見て、最後に「古今集」を見ました。)

書についてはどこがどういいのかは、全くわかりませんが、でもこれは特別。他のものがつまらないということではなく、公任も行成も立派ですし、定頼も健闘していますが、でも高野切には敵わないということです。あ、もちろん貫之は別に今更、賛嘆者が一人増えようが、二人増えようが、全くどうってことはないでしょう。

ともかく、鑑賞に堪える美しさを持つ文字は、東洋の書道に限らず、イスラムでもあるいは西洋でも、一種独特の風格があります。書かれた文字だけでなく、金石文でも同様です。その形に託すもの―歌でも祈りでも―への思いが表出するのでしょうか。

たまたま岩佐美代子先生の「八代集の歌人たち」と題するご講演があり、これがまた素晴らしくて、今日、突然思い立って出かけたことは、殆ど天佑の域だったかも。岩佐先生のチャーミングさはこれまた格別です。ご学問の深さはもとより、漂う品位!浅ましさとの対極にいらっしゃる方です。しかも、お声が凛として美しく、迦陵頻伽もかくや、と思われるほど。80歳だなんて信じられません。耳に心地よい講演でした。まるでリサイタルみたい・・・うっとりいたしました。お召し物も素敵でしたよ、古代紫に扇の小紋。

素敵な80歳を見ると、これからの人生に元気が出ますね。



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