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バナナつるし賛
正式な名称は忘れた。 バナナを吊しておく道具である。ずいぶん前に友だちが絶賛していたが、そのときは「あ、そう」という程度の関心しか持てず、数年を経た。台所というのは、そうでなくても余分な道具が増えるところである。わざわざバナナ風情のために専用の台なんぞ、と思っていた。マスクメロンだ、白桃だというのならともかく、バナナである。
しばらく前、高級木製バナナつるしを買った。単なるハズミではあるが、<高級木製>である。確か友だちが、百均にあるような安いのはいけない、大きいバナナがつるせないから、とかなんとか言っていたので、生協チラシの<高級木製>にしたのだ。高級とはいえ、いくらだったか忘れる程度の品である。真横からみると数字の「2」のようになっていて、「2」の先端にバナナを吊るすというだけの簡単なものだ。
ところが、これが案外のスグレモノで、バナナの持ちもいいし、それと同時に売れ行きもよい。バナナがおいしそうに見えて、朝ごはんに1本、お弁当用に1本、と無駄なく家族の胃袋に納まっていく。もっと早くに買えばよかった。
フィリピンとかタイとか、実際こういう道具が家庭にあるのかしら?
ただし、いけないのは、最後の1本になったときだ。宙ぶらりんに1本、ヘタの具合によっては吊るすのも難しいが、うまく吊るせたとしても、なにやら気持ちがよくない。縁起でもない感じだ。これについては友だちは何も教えてくれなかった。一人暮らしだったから、最後の1本が常に存在しただろうに。
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