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イノコヅチ脳症?
最近、脳に微細な傷があるのではないかと半ば真面目に考えてしまうほど物忘れが激しい。
固有名詞はもちろんである。とりわけ覚えたくない事柄に関しては恐ろしいほど忘れる。覚えたいことでも、インデックス代わりの一文字を覚えているのが精一杯。この本は持っていただろうか、と迷うことも多い。固有名詞に近いものとして、先だっては自宅の電話番号を忘れた。ようやく思い出してかけたら、昔の番号だった。
行動の理由も相当怪しい。今日も××屋へ買い物に行かなくっちゃ、と数あるご近所スーパーの中から××屋を指定したはいいが、なぜもっとも不自由な××屋でなくてはならないのか、という理由がどうしても思い出せなかった。行けば思い出すかと思ったが、行ってもついに分からずじまい。きっと買い洩らしたものがあるに違いない。
その流れで物の置き忘れ/取り忘れも茶飯事である。何巻か揃いの本を順番に買うとき、一体どこまで買ったかを忘れることも多い。だぶって買うのは避けたいので、この次、と思い、この次にまた同じことを繰り返す。
漢字もこれまたひどい。書けないこと甚だしい。これまで漢字検定だの漢字博士だのという物知りをバカにしていたが、考えを改めないといけないかもしれない。が、とりあえず「誤字は誤字と分かった時点で、文字としての機能を果たしている」という金田一春彦の言葉を座右の銘として暮らそう。外国語の単語も涙が出そう。
同じ話を繰り返すという年寄り臭いこともまま起きる。こればかりは指摘されるうちが花である。老父など言って5分もたたないうちに同じことを言い始めるから、さすがにもう指摘すらしないで、はい、はい、と相手をしてやるのだが、遠からず自分の番になりそう。
深刻なのは予定である。予定に関してはかなり緊張していないと危うい。予定が決まった時点でちゃんと手帳に書くこと、携帯に入れること。宅配便の配達予定もちゃんと書いておかないと、いつ物が届くのかわからなくなり、配送伝票をどこにおいたかも忘れ、あげくは「配達いつにお願いしましたっけ?」と店に電話をかける破目になる。
これが老化なんだろうが、あたかもイノコヅチのようなトゲトゲのある小さなものが脳に紛れ込んで、あちこち傷をつけて動き回っているようだ。脳みそ微細損傷、損傷したところが治るときにひきつりが出来て、脳みそ萎縮。
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